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前代未聞の事件が起こりつつも、自由民主党の大勝で終わった参議院選挙。その結果が招くのは高齢者やそれを支える家族に厳しい未来だーー。 7月10日に第26回参議院選挙の投開票が行われた。これから3年間は大きな選挙がないことから、岸田文雄首相(64)は思いどおりの政策ができる「黄金の3年」を迎えることになるーー。 「“世論の支持”を大義名分に岸田首相は2024年の介護保険制度の“改悪”に突き進むのではと、介護現場は危機感を募らせています。財務省の諮問機関である財政制度等審議会が、介護保険サービスの利用者負担を“原則2割”にすることを提案しているからです」 そう語るのは「認知症の人と家族の会」の花俣ふみ代副代表だ。“介護の社会化”のフレーズを掲げ、2000年にスタートした介護保険制度。それまで家族が担っていた介護を社会全体で支えていくはずだったが、少子高齢化によって膨れあがる社会保障費に、これまでも「負担の見直し」が何度も議論されてきた。 介護度によって決まる支給限度額の範囲内であれば、一定の負担割合で介護サービスを利用することができる。負担割合は、所得に応じて1~3割の範囲内で決まる。年金やその他収入の合計額が単身世帯では280万円未満、65歳以上が2人以上いる世帯では346万円未満であれば、負担割合は1割になる。現在、この「1割負担」の世帯が全体の約9割を占めている。 ■介護負担増で懸念される“介護控え” しかし、今年5月25日付の財政制度等審議会の「歴史の転換点における財政運営」と題された提言集にはこんな記述が。 <介護保険サービスの利用者負担を原則2割とすることや2割負担の対象範囲の拡大を図る> 介護保険制度は3年ごとに改定されるが、同審議会が提案しているのが、2024年の改定で2割負担を原則化したり、その対象者を増やしたりすることだ。これは実質的に財務省の意向といってよく、「黄金の3年」でこうした提案が実現する可能性は高まったという。 「その影響は計り知れない」と警告するのは、社会福祉学が専門の淑徳大学の結城康博教授だ。 「原則2割負担になれば、多くの利用者の負担は2倍になります。訪問介護(ヘルパー)や通所介護(デイサービスなど)の介護保険サービスの利用料を毎月2万円払っている人は4万円に。物価高に加え、社会保障費や税金が上がっているのに、昨年度から年金は0.4%減額されました。介護サービスの利用負担が2倍になれば、要介護者がいる世帯の家計への影響はさらに大きくなる。必要なサービスを減らす人や、利用そのものをあきらめる“利用控え”が増加します。認知症の症状が進んだり、身体機能が低下したりすることが危惧されます」 ■「要介護2」で月24万円の負担増も そこで、本誌では「原則2割負担」になった場合を想定し、介護サービス利用時の限度額を「目安」に自己負担額を試算してみた。その結果、認定者数が多い「要介護1」では年20万1千180円、「要介護2」においては年23万6千460円も負担が増えることが明らかになった。 「要介護3」以降は、所得に応じて決まる自己負担額の上限を超えた分が還付される〈高額介護サービス費〉が適用される。現在の1割負担の世帯のなかでもっとも多いと思われる“住民税が課税されている人がいる世帯”の上限額は月4万4千400円。これ以上の負担額は払う必要はないが、2割になったら、要介護3の場合は年20万8千224円の負担増となる。 原則2割で懸念される介護費による家計の破綻や利用控えによる症状の悪化。自民党を支持した人も、支持しなかった人も、等しく待っているのは“介護地獄”のようだ。
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介護を必要としている人が増加すると、介護保険料値上げか、所得や貯蓄のある利用者が応分の負担をするしかないでしょう。
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