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岸田文雄首相は新型コロナウイルスの感染「第7波」を、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を出さずに乗り切りたい考えだ。 第6波まではこれらによる行動制限で抑え込んできたが、コロナをインフルエンザなどと同等に扱う「平時」を視野に入れた対応に軸足を移す。 「これまで6回の感染の波を乗り越えてきた。わが国全体の対応力は強化されている。新たな行動制限は現時点で考えていない」。首相は14日の記者会見で、第7波への対応をこう説明した。 政府は2020年1月からの第1波以降、緊急事態宣言と重点措置を駆使し、感染制御を試みてきた。第7波の主流になると予想されるオミクロン株の新系統「BA.5」は、ワクチン接種や感染で獲得した免疫をすり抜ける感染力の高さから、1日当たりの新規感染者数は近く過去最多に達するとみられている。 一方、政府は第7波の兆しが見え始めた6月下旬から「行動制限を行うことは考えていない」(松野博一官房長官)と明確なメッセージを発信してきた。この局面で時短営業や移動自粛を国民に求めれば、物価高騰が直撃する日本経済に深刻な打撃を与えかねないとの危機感からだ。 現時点では重症者数や死亡者数が増えておらず、政府筋は「行動制限に踏み切れば、経済も生活も崩壊してしまう。ウイルスは弱毒化しており、国民は経済を止めることを望んでいない」と指摘する。感染対策を重視する専門家も、今回は「行動制限は今の段階では必要ない」(尾身茂コロナ対策分科会長)と足並みをそろえる。 もっとも、BA.5の病原性に関する知見は定まっておらず、BA.2などと比べて重症化しやすいという実験結果の報告もある。新戦略の柱であるワクチンをめぐっては、3回目接種率が60%超で停滞。首相は会見で、特に接種率の低い若年層に向けて「帰省先でも接種できるので、積極的に検討を」と呼び掛けたが、手詰まり感が漂っている。 今後、重症者や死亡者が増加し、通常医療や救急医療への負荷が極めて高くなる恐れも否定できない。コロナ分科会は14日の提言で「さまざまな対策を行っても医療の逼迫(ひっぱく)が深刻になった場合は、行動制限を含めた強い対策が必要となることもある」とくぎを刺した。
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行動制限回避で乗り切れるでしょうか。
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