岸田文雄首相が自民党の故安倍晋三元首相の国葬を決断したのは、戦後1例しかない異例の対応で安倍氏を支えた保守層への配慮を示す狙いがある。
ただ、安倍政権は歴代最長の在任期間を樹立する一方、集団的自衛権の行使容認など国論を二分する政策を推進したり、国民への説明責任という点で批判されたりもした。野党支持者を含む国民の多くから理解を得られるかが成否のカギを握りそうだ。
「ご功績は誠に素晴らしいものだ。外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けている」。首相は14日の記者会見で、国葬とする理由をこう説明した。
戦後の首相経験者の国葬は、1967年に死去した吉田茂氏だけ。80年に死去した大平正芳氏以降はおおむね内閣と党の合同葬が定着していた。
だが、安倍氏の場合は衝撃的な事件で命を落としたこともあり、安倍派を含む保守系議員から国葬を求める声が上がっていた。12日の家族葬には、多くの参列者が駆け付けメディアの報道も集中。献花台が設置された自民党本部には連日、支持者らの長い列ができている。
党内は歓迎している。安倍派の西村康稔事務総長は記者団に「内閣としての判断はうれしい。国を挙げて功績を評価するということだ」と指摘し、保守派の閣僚も「首相が決断してくれて良かった」と語った。一方、「保守層をつなぎ留める狙いもある」(幹部)と打ち明ける声や、「妙な神格化が怖い。これを利用する政治家が出てこないことを願う」と懸念を口にする向きもある。
安倍氏は財務省の決裁文書改ざんなどでも強い批判を浴びた経緯があり、インターネット上では国葬について賛否が交錯している。2020年に行われた中曽根康弘氏の合同葬は、約1億9000万円の経費を国と党で折半。一部世論は「高過ぎる」と反発した。
他党からは疑問の声も上がっている。立憲民主党の関係者は「簡単に決めていいのか。安倍氏を賛美することにならないか」と指摘。同党幹部は「死去直後で表立っていなかった批判が今後、顕在化する可能性がある」と述べた。泉健太代表はコメントを発表したが、「国葬は厳粛に行うものでご冥福を祈りつつ静かに見守りたい」と、賛否には言及しなかった。
公明党関係者は「安倍氏への批判もある中、うちとしてはやりたくない。静かに送れる雰囲気ではなくなるかもしれない」と語った。党内には閣議決定ではなく新法制定を求める意見もある。山口那津男代表ら幹部はコメントを出さなかった。
自民党関係者は「国葬への支持は7割は必要だ。政府が国会でしっかり説明しないといけない」と述べ、国民の理解が重要だとの認識を示した。
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国葬反対です。
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