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安倍晋三元首相が奈良市での街頭演説中に銃撃され死亡した事件では、背後にも広いスペースがある場所が演説会場となり、近づく男を警察官が制止できず至近距離での発砲を許した。1発目の発砲直後に安倍氏をかばおうとする姿もうかがえなかった。奈良県警の鬼塚友章本部長は9日、警備上の問題があったことを認めたが、今回の警備態勢に警察内部からも批判の声が上がっている。 安倍氏は8日午前11時半前、多くの聴衆が集まった近鉄大和西大寺駅前で演説を始めた。当時の様子を撮影した動画などによると、山上徹也容疑者(41)は、車道を挟んだ斜め後方の歩道で拍手を送るようなそぶりを見せる。演説が始まって2分が過ぎた頃、山上容疑者が車道に出て安倍氏の背後に近づくと、1発目の轟音(ごうおん)が響いた。 要人警護に詳しい警察幹部は「360度を見渡せるような演説会場は狙われやすい。不審者を早く発見するため、要人の背後を含め警護要員を張り巡らせないといけない。簡単に接近を許すとは、一体どうなっていたのか」と批判する。 発砲とともに白煙が広がったが、この時点で安倍氏自身が大きな傷を負っていたようには見えない。複数の警護担当者が山上容疑者の方を振り向いて防弾用のケースを掲げた一方、安倍氏を身をていしてかばうことはなかった。安倍氏も振り向くと2発目の銃声が響いた。1発目と2発目の間隔は2秒半程度。駆け出した警察官数人が山上容疑者を取り押さえたが安倍氏は崩れるようにして倒れた。 この状況に、警察幹部は「1発目の直後に警護担当者は安倍氏をかばわないといけなかった。現場からすぐに安倍氏を退避させるべきだった」と指摘し、2発目まで2秒以上の時間がありながら最悪の事態を防げなかったことを嘆く。 選挙の街頭演説は、候補者や演説者が握手をしたり、写真撮影に応じたりしようとするため、聴衆との距離が近くなる。さらに、候補者側が票を意識して「ソフトな警護」を要求してくることもあり、警備・警護はより難しくなる。対策として警察幹部は、①聴衆との十分な距離の確保②不審者の早期発見③警戒区域を分担することによる責任の明確化-を挙げる。 今回、要人警護を専門とする警視庁のSP(セキュリティーポリス)も1人配置されていたとはいえ、警備計画や要員配置は奈良県警が担っていた。安倍氏の演説が事件前日に急遽(きゅうきょ)決まったことが、警備上の不備につながったとの指摘もあるが、鬼塚本部長は9日の会見で「どのような日程にも対応できるよう体制を構築すべきだ」と強調。具体的な問題点への言及は避けつつ、警察庁と連携して検証する意向を示した。
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警備態勢に問題があったとしても、銃による襲撃は想定外でしょう。
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