新型コロナウイルスの急速な感染拡大で、一部地域では医療の逼迫(ひっぱく)が始まっている。1日当たりの感染者数が20日に初めて2万人を超え過去最多を記録した大阪府では、発熱外来に検査を求める人が列をなし、死者増加の原因となってきた高齢者施設のクラスター(感染者集団)も目立つ。国はこれまで感染対策の柱としてきた行動制限を求めない方針だ。爆発的に陽性者が増える第7波に対し、現場は新たな対応を迫られている。
◇感染スピード「第6波大きく上回る」
「まさかここまで感染者が増えるとは……」。府南部の貝塚市で発熱外来を設けている市立貝塚病院の担当者は驚きを隠さない。病院では3連休明けの19日、これまでで最多の約250人が受診した。2021年末から22年春にかけての第6波では、多い日でも1日約150人だった。
普段は正午までに受け付けを終えるが、19日は事務員らが総出で対応したにもかかわらず、午後4時半までかかった。陽性率は7割に上り、担当者は「感染拡大のスピードは、第6波を大きく上回っていると思う」と言う。
府北部の枚方市立ひらかた病院の救急外来では17日から3日続けて、1日に100人以上が受診した。感染が広がり続ければ、検査キットが枯渇する可能性が出てくるといい、担当者は「基本の感染対策を徹底して、自己防衛してほしい」と訴える。
症状があっても、検査を受けられないケースも出てきている。高校生の長男が陽性となって自宅待機していた大阪府吹田市の女性(50)は、数日後に自身も発症。徒歩や自転車で行ける範囲の複数の医療機関に電話で検査の申し込みをしたが、全て「予約でいっぱい」と断られたという。女性は「感染している可能性が高いのに検査が受けられず、既に症状は落ち着いてきた。実際の感染者は公表されている数字よりもっと多いのでは」と話す。
第6波では、高齢者施設でクラスターが多数発生し、高齢者の死亡につながった。府によると、クラスター発生が確認された府内の高齢者施設は6月30日~7月6日が12件だったが、7月7~13日は40件に急増。複数の高齢者施設でクラスター対策にあたる「水野クリニック」(大阪府河内長野市)の水野宅郎院長は「(高齢者施設では)高熱で食事がとれなくなり脱水症状で亡くなるケースが多い。このまま感染者が増えれば、第6波を超える死者が出る可能性がある」と訴える。
府によると、7月21日現在の病床使用率は、軽症中等症用が46・7%まで上昇したのに対し、重症用は4・0%にとどまっている。陽性率は49・2%と高い水準にあり、検査不足の可能性をうかがわせる。
◇「今後、症状出ても受診できない恐れ」
府のコロナ専門家会議座長を務める大阪健康安全基盤研究所の朝野和典理事長は「感染者の急増で、今後は症状が出ても医療機関を受診できない人が増えるだろう。季節性のインフルエンザのように、多くの医療機関で受診できる態勢に変わっていく必要があるのではないか」と指摘する。【菅沼舞、柳楽未来】
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検査不足、医療逼迫、同じことの繰り返しで、死者が増えないことを祈るだけです。
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