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東芝とライブドアとどちらが悪質かという議論が起こっているようですが、そんなの決められないですよ。ライブドアは赤字を黒字にしていたから悪質で、東芝はそうじゃないから悪質じゃないと新聞が書いていたけれど、それは結果論であって、赤字の状態を無理やり黒字に粉飾していたわけじゃないですよ。検察官の調書はそうなっていて、みんな執行猶予になるならいいわ、とそれにサインするから、そういうストーリーが作られちゃいましたけど、そういう問題ではないんです。東芝は単純に対処の仕方がよかったということですよね。悪いことをしてよい対応をしたというのも変ですけど、弁護団チームがうまくやりましたよ。検察官が介入すべきタイミングを逃したというか。
誰が最初に動くのか、というのが大事なんです。刑事事件化するかどうかは、検察官の胸三寸ですから。ライブドアのときは検察が最初に動いた。検察官は、個人の正義感で捜査して事件化するかどうかを決めています。今回は検察が動くまでもなく、内部告発があって会社側は調査をしました。
第三者委員会の委員長は元東京高検検事長ですが、彼は検察官の気持ちがわかるから、そういうアドバイスをしていると思いますよ。検察が動かないような状況をつくりだすことが彼の使命ですから。
報告書の内容は、東芝の歴代経営陣からみれば、おそらく受け入れがたいものだったと思いますよ。
歴代3社長が辞めたわけですよ。そういうことをやらせた第三者委員会はすごい、というのが検察の思いじゃないでしょうか。
ライブドア事件のときも不正会計に課徴金を科すという行政処分の制度はありましたが、適応されませんでした。企業が存続しているのに不正会計で上場廃止や刑事事件化すると、インパクトが大きいし株主も損害をこうむる。刑事事件化しないようにできたそのルールが、今は順当に運用されているということです。東芝に対して課徴金という形で行政処分が下る。民事訴訟が起こり歴代の経営陣は巨額の賠償金を払わざるを得なくなる。今後、たとえば原発関連などでよっぽどひどいものが出てきたら刑事事件化せざるを得なくなるでしょうけれど、今出ているもので、うまく幕引きとなりそうですけどね。
※週刊朝日 2015年8月7日号
第三者委員会の委員長が、元東京高検検事長はおもしろい。
歴代3社長や監査法人に対する追求は不十分だろう。
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