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2015年7月29日水曜日

中国人客「商品無断撮影」「棚を爆買い後に一括返品」の狙い


 高級ブランド店が立ち並ぶ東京・銀座。いわゆる「爆買い」で活況を呈す一方、不審な動きを見せる中国人が出没していた。高級店の店員が語る。
 
 「集団で押し寄せる中国人客の中に、店内で堂々と新作のバッグや財布、洋服の写真を撮る人がいます。店内での撮影はNGなのですが注意しても聞かず、商品の内側までバシャバシャと写真に収め、購入せず満足気に帰っていきます」(銀座の高級ブランド店店員)
 
 「『この棚全部欲しい』と商品を一気に購入した中国人客がその数日後、いきなり店に現われて、『気に入らないから返品したい』と要求してきた。通常では考えられないケースなので驚きました」
 
 2014年に来日した中国人観光客は240万人。旅行消費額5583億円は前年比で倍以上となり、訪日観光客による旅行消費全体の4分の1以上を占める。国別ではダントツの1位だ(観光庁『観光統計』)。
 
 今年に入るとこの流れはさらに加速し、2月の春節(旧正月)にはわずか1週間で45万人もの中国人観光客が日本に押し寄せ、消費金額は1140億円に上ったと報じられた。
 
 商機を逃さぬよう、日本にある多くの高級ブランド店は中国人スタッフや中国語が堪能な日本人スタッフまで雇う注力ぶりだが、最近になって、前述したような不審な客が混じっていることに気付き始めた。銀座の高級ブランド店関係者が首を傾げる。
 
 「当店ではご購入の際、お客さまには商品に傷やほつれがないか必ず確認していただいていますが、中国人客が返品しようとする商品は購入から数日しか経っていないのにシワや縫製のほつれが目立つ」
 
 この店では今月に入ってから、片言の日本語を話す中国人男性が「最新デザインのバッグが欲しい」といって来店し、複数の女性用バッグを購入したが、わずか2日後に「商品にシワがある」と返品に訪れた。購入時に商品の状態を確認したはずだと断わると、「なぜダメなんだ。おかしいじゃないか」と執拗に食い下がられたという。
 
 一体、彼らは何者か? 前出の店員が明かす。

 「ブランド品のコピー業者が交じっているんだと思います。旅行者を装って写真を隠し撮りし、精密なコピー品を作ろうとしているようです。業界の隠語ではそういった方を“フォトグラファー”と呼んでいます。
 
 うちの店で返品を希望されたのはその数日前に『棚全部ください』といって購入された方でした。ですが持ち込まれたものは、バッグの縫製を解いてから雑に縫い直していたのですぐに分かりました」
 
 その大量返品をしようとした男性客も女性モノの「最新のデザインが欲しい」と店員に尋ねていたという。
 
 中国はありとあらゆる商品を模倣するコピー大国として知られる。日本で仕入れた情報をもとにしたブランド品のコピー製品が本国で直ちに製造され、表裏の様々なルートで国内外に流通する。一昔前は素人目にもコピーと分かる代物が多かったが、精緻であるほど値段が吊り上がるので、日本発の写真や図面が「資料」となっているのだろうか。
 
 型を取り終われば用済みだから、返品客が相次ぐのもうなずける。ただし、前述の通り、高級ブランド店は購入時にほつれなど商品の状態を客に確認させ、返品はNGという店舗が多い。しかし相手もさる者。コピー業者は次なる手を用意しているという。
 
 
「ブランド店に断わられたその足で質屋に持ち込んで高値で買い取らせようとする。持ち込まれるバッグのなかには解体後にコピーの素材と本物の素材を組み合わせて作った“混合品”もある。一つの本物から二つも三つも混合品が作れる上に、我々がコピー商品を見分けるためのポイントである、金具や取っ手などが本物だと騙されてしまう。少しでも投資を回収しようとするのが彼らのやり方です」(新宿の質店店主)
 
 コピー品の「爆売り」も進んでいるのだ。

※週刊ポスト2015年7月31日号

 コピー業者の横行と爆売りはおもしろい。

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