ページビューの合計

2016年4月28日木曜日

内山高志が負けた…日本最強の男が3度ダウン 夢の米進出も難しく

 内山が負けた。WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者・内山高志(36=ワタナベ)は暫定王者ジェスレル・コラレス(24=パナマ)との王座統一戦で2回2分59秒KO負け。2回に3度のダウンを喫して12度目の防衛に失敗し、10年1月に奪取した王座を失った。連続防衛記録は日本歴代2位の11度でストップした。WBA世界ライトフライ級王者・田口は11回終了TKO勝ち、WBA世界スーパーフライ級王者・河野は3―0の判定勝ちで、それぞれ3度目の防衛に成功した。

 内山は試合後、すぐに控室で取材に応じた。「完全なKO負け。見た目以上に(パンチが)入りました」。3度ダウンしての完敗に表情も口調もサバサバしていた。36歳とあって進退に関する問いも出たが、「まだまだ防衛するつもりだったので何とも言えない」「今はよく分からない。負けたんで」 と話すにとどめた。

 悪夢の6分間だった。1回、大振りな相手の右フックをもらう不安な立ち上がり。「やり返したいという気持ちがあって前に出た」2回、カウンターの左をまともに受けて ダウンした。ふらつく足を必死で踏みしめ、反撃を試みて右フックを浴び、相手にもたれるように2度目のダウン。クリンチで逃げ切ろうとしたが最後は左ストレートで倒され、3ノックダウンのWBAルールでKO負け。この回の終了ゴングまで残り1秒だった。

 昨年大みそかのV11達成後、ストレスのたまる4カ月を過ごしてきた。当初は悲願の海外進出へ向け、無敗の元WBA世界フェザー級スーパー王者ウォータース(ジャマイカ)と交渉に入った。だが、交渉が難航した上にWBAからはスーパーフェザー級正規王者フォルトゥナ(ドミニカ共和国)との統一戦を指令され、その交渉も不調で最後は相手がコラレスに変わった。米国進出もお預けとなり、珍しく「正直言ってモチベーションが下がった」とこぼした。

 それでも、相手が決まれば頭を切り替えた。「こういう時こそキツい練習をやっておけば」とトレーニングの強度を上げ、調整もいつもどおりに行った。想定外だったのはディフェンスが持ち味で「インビシブレ(透明人間)」の異名を取るコラレスが、いきなり前に出てきたことか。「動きがつかみづらかった。もらったパンチは見えなかった」と明かした。

 この試合をクリアすれば、元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高が持つ防衛13回の日本記録に王手がかかっていた。最年長防衛記録や世界戦10KO勝利の日本記録を打ち立てた、日本ボクシング界のエースの陥落。無冠となり、米国進出が厳しくなった現状でも現役を続行するのか、それとも次のステージに進むのか。親しい関係者にはジム経営に興味を示すなど、将来についてもしっかり考えている内山の決断が注目される。

 ◆内山 高志(うちやま・たかし)1979年(昭54)11月10日、埼玉県春日部市生まれの36歳。埼玉・花咲徳栄高でボクシングを始め、拓大4年から全日本選手権ライト級3連覇。05年7月プロデビュー。07年9月に東洋太平洋スーパーフェザー級王座獲得(防衛5回)。10年1月にファン・カルロス・サルガド(メキシコ)に12回TKO勝ちし、WBA世界同級王座獲得。身長1メートル72・5、リーチ1メートル80の右ボクサーファイター。
(スポニチアネックス)

 挑戦者で、米国進出で、タイトル戦もおもしろい。

0 件のコメント:

コメントを投稿