今秋ドラフトの目玉に、アクシデントが発生した。創価大の田中正義投手(4年=創価)が共栄大戦に先発したが、右手中指の爪を痛めて2回無失点で緊急降板した。初回から腕が振れず、直球の最速は147キロ止まり。2月に発症した右肩痛の再発は否定したが、視察した日米7球団のスカウトも肝を冷やした。チームは2-2の延長10回1死満塁のタイブレークから、プロ注目右腕の池田隆英投手(4年=創価)が3失点。今季初黒星を喫した。
明らかに異変が起きていた。今季2度目の先発マウンドに上がった田中は初回から腕が振れず、制球が定まらない。投球後にバランスを崩し、顔をゆがめる場面もあった。2回を2安打無失点で投げ終えたところで、交代を直訴して36球で降板。試合後、右手中指にテーピングをしたエース兼主将は「(試合前の)ブルペンで爪が割れた。最初から痛みもあって、思うような投球ができなかった。中途半端なことをして申し訳ない」と唇をかんだ。
マウンドでは指を気にするしぐさは見せなかった。降板後にベンチ裏へ下がり「血も出てきたし、消毒したりした」。4回表の途中でベンチに戻って仲間を鼓舞した。右手中指はマメをつぶした経験はあるが、爪の負傷は「初めてです。縦に深く割れた」と話した。
右肩痛の再発は否定した。2月上旬に違和感を訴えて調整が遅れ、3月の侍ジャパン強化試合・台湾戦の招集が見送られた。今月5日の開幕戦(対杏林大)は3失点完投勝利。試合のなかった16日には紅白戦に登板し、3回無失点と調子を上げてきていた。「肩は問題ないと思う。(投球再開は)いつになるか分からないけど、早く始められるようにしたい」。チームも初黒星を喫し、険しい表情のままバスに乗り込んだ。
周囲も表情を曇らせた。岸雅司監督(60)は「肩はもう大丈夫だが、来週も厳しいかもしれない」と、30日からの東京国際大戦の登板回避を示唆した。視察した日本ハム今成スカウトは「立ち上がりは探りながら投げるので、いつもと変わらないかと思った」と話した。注目を集める最速156キロ右腕に、再び試練が訪れた。【鹿野雄太】
(日刊スポーツ)
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