ギリシャ政府は9日、財政改革案を提出し、その見返りとして金融支援を要請した。これを受けて、ユーロ圏は11日に緊急の財務相会合を開いて対応を協議。支援の最終判断を12日午後(日本時間同日夜)からの首脳会議に委ねた。
会議は予定時間を過ぎた13日未明時点でも終了していない。ギリシャのユーロ圏離脱については議論されていないものの、ユーロ圏首脳の間ではギリシャのチプラス政権への不信感が根強い。EUに事前通告なしに国民投票を強行し、有権者に緊縮反対を呼び掛けた経緯があるからだ。またギリシャはこれまでも約束した政策を実行しないことがあり、今回示された改革案の実効性をどう担保するかも議論となった。
会議では付加価値税(日本の消費税に相当)の増税や年金の支出削減など主要な財政改革の関連法案を、15日までにギリシャ議会で成立させるよう要求した。今回は改革案を即時に法制化することで、実行を確約させる狙いだ。
ドイツなどは公営企業の民営化を着実に進めるため、EUの実質管理下にある投資ファンドにギリシャの国有資産を移管するよう主張している。首脳会議では、チプラス政権への不信感を募らせるショイブレ独財務相が、EU側が求める条件にギリシャが応じない場合は「5年間ユーロ圏を離脱すべきだ」と明記した文書を配布し、ギリシャをけん制する場面もあった。
EUによるチプラス政権の監視をどこまで強めるべきかを巡って強硬派のドイツ・フィンランド・東欧などと、やや柔軟なフランスやイタリアとのあいだには温度差がにじむ。ただユーロ圏はギリシャ議会が増税法案などを可決しない限り、支援に動かないということでは一致している。
ギリシャがEUの求める条件を全て満たせば、ユーロ圏の財政危機国を支援する基金「欧州安定メカニズム(ESM)」などを活用し、総額820億ユーロ超を支援する。
ただ各国の議会手続きが必要なESMの発動は早くても7月末になる。このため20日に期限を迎える欧州中央銀行(ECB)への資金返済のため、少額の「つなぎ支援」をすることが首脳会議でも議題になった。一方、ギリシャ側が求めていた債務減免は具体的な議論に入れていない。
EU側が示した厳しい条件にはギリシャ国内から反発の声も予想される。それをチプラス首相が抑え込んで、改革法案をギリシャ議会に一両日中に提案しなければ金融支援は見送りとなる可能性が大きい。
(日本経済新聞)
金融支援したくないような厳しい条件を、ギリシャは受け入れるか。
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