試合終了後、矢野は破顔一笑でナインを出迎えた。日本ハムはオリックスに逆転勝ちして5連勝、最近21試合で20勝1敗と破竹の快進撃だ。「(大野)奨太が打って、中島卓、陽岱鋼も打った。僕よりもしっかり打った彼らの方がすごい」。百戦錬磨の35歳は優しい口調で切り出した。
2点を追う7回1死満塁。矢野は谷口の代打で登場した。ディクソンとは初対戦だったが、決め球・ナックルカーブの軌道は映像で頭に入れていた。フルカウントからの6球目、外角低めにその“宝刀”が来た。冷静に見送って押し出し四球。これで右腕の戦意を喪失させた。続く大野の逆転3点二塁打を呼び込み、中島の適時三塁打、陽岱鋼の適時打も生まれた。打者11人、33分の猛攻で5安打6得点。6回まで2安打無得点の打線に神懸かり的な猛攻を呼んだ。
巨人時代の13年に「代打安打19本」で球団新記録を作った矢野。「ここだと思って準備していた。ストライクなら仕方ないと」と冷静だったが、周囲は違う。決勝打の大野は「代打の神様がつないでくれた。その流れで打てた」と頭を下げ、栗山監督も「あの四球の取り方。オレなら100打席あっても絶対に振っているよ」と両手を合わせた。
試合での準備中は周囲が声を掛けられないほどの集中力を見せる。「どんな状況でも行けと言われた所で振れないと。矢野さんを見ているとそう思う」とは大谷。一打に懸ける心構えは若いチームの生きる教材だ。
チームは9カード連続勝ち越しで、本拠地主催試合は11連勝、札幌ドームでは10連勝。12年以降の栗山政権下では最多の貯金22とした。7月は13勝1敗で貯金独り占め。6月には最大11・5差だった首位ソフトバンクとのゲーム差を3・5に縮めた。「ドシッとした、いい野球をやってくれた」と栗山監督。矢野のプロ14年の経験がタカ追撃の力となる。(小谷 真弥)
(スポーツ報知)
ゲーム差3.5は面白くなってきた。
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