2―1の6回。その名前がアナウンスされると、札幌ドームに大歓声が響いた。日本ハム・大谷が右手中指のマメをつぶした10日のロッテ戦(札幌ドーム)以来14日ぶりのマウンドで1回を1安打無失点に抑えた。
「全体的に良くなかった。(先発の)加藤さんの勝ちを消さないようにと思って投げた」。リリーフは1年目の13年以来3年ぶり3度目。先頭のT―岡田にいきなり左中間フェンス直撃の二塁打を浴び、1死一、三塁を招いた。ここから粘る。「中継ぎなので組み立てという部分ではなく、抑えられる球を優先した」。モレルを153キロ直球で一邪飛、若月をスライダーで一飛に仕留め、プロ初ホールドを挙げた。
慣れない中継ぎ、久しぶりの実戦登板と不安要素が重なったことあり、全17球のうちボールが12球と大荒れの内容。それでも「一番、指に負担がかかる球」とポイントに挙げた直球の最速は156キロをマークし、栗山監督は「指の方は大丈夫そうだよね」と一安心した。負傷直後の球宴には投手で出場できず、打者で出場。マメの皮が完全にめくれたため、回復には時間を要し、キャッチボール再開は球宴後の18日、ブルペン入りは23日までずれ込んだ。現在、指の皮は再生し、保湿など日々のケアもしており、大谷は「気にしても仕方ない。抑えられれば十分」と自身に及第点を与えた。
次回は中6日で31日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)の先発が有力。チームは逆転負けで連勝は5で止まり、西武に勝った首位・ソフトバンクに4・5ゲーム差に広げられた。それでもエースが実戦復帰したことが何よりの収穫となった。 (柳原 直之)
◇大谷の過去2度の中継ぎ登板 1年目の13年8月9日ロッテ戦(札幌ドーム)。0―2の6回から登板し、2イニングを1安打無失点3奪三振。同18日のソフトバンク戦(帯広)では「5番・右翼」で先発出場し、2―7の8回からマウンドへ。新人が1試合で野手から投手をこなすのは45年ぶりで、1イニングを1安打無失点。
▽ホールド 勝敗のつかなかった中継ぎ投手に付く個人記録。原則として3点以内のリードまたは同点の場面で登板し、追いつかれたり勝ち越されるか、それらにつながる走者を残さず、アウトを取って降板した場合などに記録される。05年から両リーグで採用。
(スポニチアネックス)
打者・大谷でないと勝てないか。
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