―対象犯罪は?
全部で277ある。分類すると、組織的殺人などを含む「テロの実行」が110。マネーロンダリング(資金洗浄)など「その他資金源」が101で、覚せい剤密輸などの「薬物」が29、人身売買など「人身に関する搾取」が28だ。このほか、偽証などの「司法妨害」に仕分けられるものが9ある。
―どういう基準で選ばれているのかな。
今回の法整備のきっかけとなった、国際組織犯罪防止条約の締結条件である「懲役・禁錮4年以上の重大な犯罪」に該当するものだ。当初は600以上あったが、公明党が難色を示したため大幅に減らしたんだ。
―そんなに簡単に減らせるの?
もちろん、政府は「犯罪の内容に応じて選別することはできない」と説明していた。けれども、与党に受け入れてもらうため方針を転換。改正案が適用対象として想定する「組織的犯罪集団」の範囲を狭めて、対象犯罪を絞ったんだ。
例えば、もともと酒酔い運転や選挙違反が含まれていたけど、組織的犯罪集団による犯罪ではないと線引きし、対象から外した。
―そうした例を組織的犯罪と位置付けることに無理はなかったのかな。
改正案には、ほかにも対象犯罪としての妥当性に疑問符が付く例が残っていると野党は指摘しているよ。
14日の衆院法務委員会では、野党議員が277の犯罪に、森林法の「保安林での窃盗」が含まれていることを取り上げ、「保安林でキノコを採れば違法だが、対象犯罪とするのが妥当なのか」とただした。これに対し政府は、「組織的犯罪集団の関与が現実的に想定される」と答弁したよ。
―今後の審議で議論になりそうだね。
野党は、許可なく馬券を売る競馬法違反(無資格競馬)や、納付漏れなどの所得税法違反(不納付)が対象犯罪に含まれていることも疑問視しているね。
政府は「277が最も適切だ」として、さらなる対象犯罪の絞り込みには応じない構えだけど、野党は徹底追及する方針だ。審議を通じ、政府には国民が納得する説明が求められるね。
(時事通信)
組織的犯罪集団による犯罪の線引きが難しい。
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