米国が取り得る対応策は概ね、経済制裁、秘密工作、外交交渉、軍事力の4グループに分けることができる。
<経済制裁>
北朝鮮にはすでに貿易規制、資本取引規制、武器の禁輸措置など、多岐にわたる経済制裁が科されており、世界で最も厳格な制裁の一つとなっている。
ただ、米議会調査局による昨年の報告書によると、「アナリストの大半は、米国などによる制裁が北朝鮮による核兵器能力の追求を阻止できてないと指摘」しているという。
ロイターは先週、トランプ政権の当面の北朝鮮戦略は経済制裁の強化を柱としており、石油禁輸措置や国営航空会社の運航制限、船舶貨物検査、北朝鮮と取引のある中国の銀行への制裁などが含まれる可能性があると報じている。
<秘密工作>
米国はイスラエルの協力の下で、「スタックスネット」と呼ばれるコンピューターウイルスを使い、イランのウラン濃縮で使われる多数の遠心分離機を破壊した実績がある。
ロイターは2015年に、米国が09─10年にスタックスネットの一種を使って北朝鮮の核兵器開発プログラムに同様の攻撃を仕掛けたが失敗したと報じている。
同プログラムに詳しい情報機関の元高官は、北朝鮮の徹底した秘密主義と極度に隔離された通信システムが失敗の原因だったと説明。
秘密工作に近い別の手法としては、電子戦やサイバー攻撃によって北朝鮮が発射中あるいは発射直後のミサイルを停止させることが考えられる。
北朝鮮のミサイル実験の失敗率が高いことから、米国がすでにこのような攻撃を実施しているとの観測もある。
<外交>
トランプ政権は、北朝鮮の核ミサイル開発を巡る2国間協議を再開することに対して前向きな姿勢を示してはいない。
12年2月の米朝合意では、北朝鮮が寧辺の各施設のウラン濃縮活動や核実験、長距離ミサイルの発射を停止する代わりに、米国は食糧支援を決めたが、同年4月に北朝鮮は第3段ロケットによる人工衛星の打ち上げ試験を実施。打ち上げは失敗したが、米国はロケットが軍事目的に利用可能だとして合意違反だと非難し、履行を停止した。
<軍事力>
トランプ政権の軍事的な選択肢は、制裁の実施を目的とする海上封鎖や核ミサイル施設への巡航ミサイル攻撃、さらには金正恩体制の崩壊を狙った大規模な軍事行動が考えられる。
攻撃が限定的であった場合も含め、北朝鮮がどう反応するかは不明だが、北朝鮮国営の朝鮮中央通信によると、朝鮮人民軍は14日、米国が攻撃した場合は米国を「情け容赦なく破壊する」と警告した。
ヒル元米国務次官補は16日にABCテレビの番組で、「韓国には、北朝鮮の大砲の射程に約2000万人が住んでいる」と指摘し、韓国を巡るリスクについて警告した。
同じ番組でマクマスター米大統領補佐官(国家安全保障担当)は軍事行動を起こす可能性は低いことを示唆。「この問題を平和的に解決するために軍事行動以外のあらゆる措置を打ち出す時期に来ている」と述べた。
(ロイター)
軍事行動はないようだ。
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