先発・松葉は内野安打と2四球などで1死満塁のピンチを招く。次打者・矢野に押し出し四球を与えると、福良監督代行はその時点でまだ21球しか投げていない右腕を早々とあきらめ、2番手の比嘉にスイッチしたのだ。
松葉はここまで3勝6敗。防御率4.98。6月7日以来、約1カ月ぶりのマウンドだった。継投は当初から予定されていたとはいえ、この日は雨天中止を挟んで4日ぶりの試合。日程に余裕があるのに、たった21球で見切りをつけるような投手を先発させた理由は相手投手との兼ね合いだろう。
この日の日本ハムの先発は大谷。現在リーグトップの9勝で、防御率は1点台。今季、大谷に唯一の黒星をつけたのはセの阪神で、パは全敗中だ。中でもオリックスは今季2戦2敗で、CSを含めた過去6度の対戦で全敗している。勝つ確率が低い試合だからこそ、二線級投手を先発させたのだろう。
もっとも、オリックスだけじゃない。パの球団には相手先発が大谷とわかると、平気でエース級を「登板回避」させる傾向が出始めている。大谷が9勝目を挙げた先月24日のロッテも、ローテーションに余裕がありながら、中継ぎの阿部を先発させた。これも「敵前逃亡」だったはずだ。
かつて田中(現ヤンキース)が楽天で無敗記録を続けていた時も、パの他球団は「マー君との直接対決では分が悪い」と、エースとの直接対決を極力避けた。田中の開幕24連勝は、そんな背景もあって生まれたものだ。今の大谷はまさに、その時と同じ状況になりつつある。
この日の大谷は2点リードで迎えた七回2死の場面で右手中指のマメの影響で途中降板。その後、リリーフが八回に同点に追いつかれて10勝目はお預けとなったが、このまま大きなケガをしなければ20勝も夢じゃなくなってきた。
(日刊ゲンダイ)
相手チームの監督ならば、大谷先発では勝ち目がないから、格下の投手を登板させて、残り2戦を勝ちにいく戦法を取るだろう。
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