▽薄かった危機感
「デザインを全く新しいものに変えると完成まで61カ月かかる。今月から起算すると20年7月末まで。これでは(同年7月開幕の)東京五輪にも間に合わなくなるリスクがある」。下村博文文部科学相は審議で、2本の巨大なアーチ構造が特徴の現在の計画を大幅に変更することはできないと説明した。野党からは、総工費1625億円を示した昨年5月の基本設計段階から約900億円も膨らんだことについて、文科相の責任を問う声も出た。文科相はゼネコンとの工事費の積算作業が始まったのは昨年12月だと明らかにし「私が大幅に工事費がアップする可能性について報告を受けたのはことし4月」と弁明した。
しかし、総工費が2千億円以上に膨らむとの建築家の指摘が昨年から再三あっただけに、危機感が薄く、対応が遅れたとの印象はぬぐえない。野党から「(見直すべきだとの)まともな意見に耳を傾けなかった」「(問題を)放置した」と非難されるのも無理はなかった。
▽涙の訴え
新国立競技場計画は、日本スポーツ振興センター(JSC)が7日に開いた有識者会議で了承され、実質的なゴーサインが出た。安倍晋三首相も10日の衆院特別委員会で、デザイン変更は困難との認識を示した。しかし、批判は収まらず、沈黙気味だったスポーツ界からも反対意見が沸き上がる。
元陸上五輪選手の 為末大 (ためすえ・だい) 氏は自身のブログで「どう考えても経済的に負担が大き過ぎる競技場をつくることは今の日本の状況から見ても反対」と表明。大会自体のイメージ低下を懸念する声もあり、女子マラソンの五輪メダリスト、 有森裕子 (ありもり・ゆうこ) さんは6日に東京都内で行われた計画反対派のシンポジウムで「五輪が負の要素のきっかけに思われるようなことは、一人のアスリートとして本望ではない」と涙ながらに訴えた。
▽安保より関心
政界では、与党からも「国民に説明がつかない」(二階俊博自民党総務会長)「ずさんだ」(石井啓一公明党政調会長)などの声が高まる。ある自民党幹部は「安全保障関連法案より有権者の関心が高く『どうなっているんだ』とおしかりを受けた」と打ち明けた。
首相官邸も世論の反応に神経をとがらせる。14日に開催予定だった東京五輪・パラリンピック大会推進本部の初会合は、直前になって見送りが決まった。安保法案の採決を間近に控え、新国立問題で政権への打撃が重なるような事態は避けたいとの思惑がにじむ。政府関係者は「いまさら、引くに引けない。批判は今がピークだ」と自らに言い聞かせた。
(共同通信)
首相官邸も世論の反応に神経をとがらせる。14日に開催予定だった東京五輪・パラリンピック大会推進本部の初会合は、直前になって見送りが決まった。安保法案の採決を間近に控え、新国立問題で政権への打撃が重なるような事態は避けたいとの思惑がにじむ。政府関係者は「いまさら、引くに引けない。批判は今がピークだ」と自らに言い聞かせた。
(共同通信)
文部科学省とその外郭団体JSCが、バカだから、見直ししないで、負の遺産を作ろうとしている。
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