臨床研究を実施したのは、同社がニュージーランドのバイオベンチャーと現地に設立した合弁会社。対象は、膵臓にある膵島の細胞が破壊され、血糖を下げる働きのあるインスリンを分泌できない1型糖尿病の患者。通常、インスリンを注射する治療が行われるが、効き過ぎると、低血糖で意識障害を引き起こす危険がある。
国内では、人の脳死提供者からの膵島の移植も行われているが、提供者不足で実施は年数件にとどまる。iPS細胞(人工多能性幹細胞)からインスリンを出す細胞を作る研究は、臨床応用まで、まだ数年以上かかる見通しだ。
合弁会社は、豚の膵島から分泌されるインスリンの構造や機能が人とほぼ同じであることに着目。豚の膵臓から採取した膵島を直径0・5ミリの特殊な素材のカプセルで覆い、免疫拒絶反応を起こさず、インスリンがしみ出るように加工。これを患者4人に体重1キロあたり2万個を2回に分けて点滴で腹部に移植した。
豚のウイルスなどが人へ感染するのを防ぐため、無菌の清潔な環境で飼育した豚の間に生まれた子供の豚を移植に使った。
その結果、血糖の状態を示すヘモグロビンA1cは4人全員で下がり、平均値では2年以上にわたり糖尿病治療の目標となる7%未満を維持した。3人はインスリン注射の量を減らすことができた。重い健康被害は起きなかった。
(読売新聞)
豚のインスリンを使うのはおもしろい。
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