終始プレッシャーをかけ続けたパッキャオは、7回にはフックの連打でダウンを奪い、9回にも左フックで2度目のダウンを奪い、試合のペースを握った。パッキャオは、試合後、リング上で「フィリピン国民のため引退する」と、改めて引退を表明した。パッキャオのプロ通算成績は、66戦58勝(38KO)6敗2分。
カードは魅力的とは言えなかったが、4回戦から拳ひとつで成り上がり数々の名勝負を生み出してきたアジアの英雄のラストマッチとなれば注目度は増す。チケットはソルドアウト。リングサイドをセレブが埋める。
両者は、過去に2度対決、1勝1敗の対戦成績で迎えたラバーマッチ。
パッキャオは、昨年5月の“世紀の決戦”フロイド・メイウェザー戦以来、1年ぶりとなる試合で、痛めた肩の治療などで、しばらくトレーニングに入れずブランクを作った。
対するブラッドリーは、2014年4月のパッキャオ戦以降3連勝中で、昨年11月にはブランドン・リオスをTKOで下し、アマチュア時代のマイク・タイソンを厳しく指導したことで知られる名トレーナー、テディ・アトラスとコンビを組み、スピード重視のファイティングスタイルに凄みが加わっていた。
パッキャオがじわじわとプレッシャーをかけるが、両者共に慎重なスタート。2ラウンドも互いにカウンターを警戒する余りに、パッキャオの手数も少ない。3ラウンドに入ってパッキャオが距離をつめ、左ストレートで飛び込むがヒットはしない。ブラッドリーもスピードある右フックで対抗した。パッキャオは4ラウンドにワンツーを軸に攻勢。このラウンドを支配する。5ラウンドの開始早々、ブラッドリーがワンツーで攻め、パッキャオがロープを背負う。だが、パッキャオにエンジンがかかってきた。ラウンド終盤にワンツーから左のダブルが浅くヒットした。
序盤は右のカウンターをパッキャオの左に合わせる作戦をとっていたブラッドリーが、6ラウンドから前に出てきた。それを堅いガードで止めるパッキャオは、コンパクトなパンチをまとめるが、両者共に決定的なダメージブローを与えることはできない。
7ラウンドの終了間際に、パッキャオが回るようにステップを踏みながら右から左の連打のフックを浴びせると、ブラッドリーがバランスを崩して手をついた。スリップとも取れるような微妙なダウンで、ブラッドリーはすぐ立ち上がったが、レフェリーはこれをダウンと認めてカウントを数えた。
ポイントを取られたブラッドリーは、8ラウンドに反撃。スピードと回転力を生かした猛ラッシュをかけて
パッキャオを防戦一方とさせる。9ラウンドも続けてブラッドリーが攻めたが、パッキャオが左フックをタイミングよくコンパクトにカウンターで合わせると、ブラッドリーは再びダウン。リング上で後ろ向きにでんぐり返りになりそうなほどの威力だった。
2度のダウンでポイントで大きくリードを奪ったパッキャオは、終盤、冷静にブラッドリーの攻撃をいなした。37歳。さすがに疲れたのか、最後はKOを狙う姿勢を見せなかったが、リスクをおかさず堅実にポイントを守って逃げ切った。
判定は、3人のジャッジが揃って「116-110」でパッキャオを支持。3-0の大差勝利だった。
アジアの英雄、パッキャオには、リング外で逆風も吹いていた。同性愛への差別発言で、ナイキ社からスポンサードを切られ、社会的にも批判を受けて、謝罪するという騒動も起こした。5月にはフィリピンの上院選挙に立候補を予定しているため、この試合が選挙運動になるのではないか、の異議が反対陣営からあり、フィリピンでの試合放映が制限される声まであった(結果的に放映制限はなかった)。だが、それらの逆風をものともせず、“ラストファイト”で、これまで世界を魅了した一発の“名残り”を見せつけた。
試合後、パッキャオは、リング上で改めて引退を表明した。
「これは最後の一戦。ブラッドリーはタフだった。これまでの2試合とはまったく違っていた。なんとか生き残れた。相手がカウンターを狙っていたが、倒したのはカウンターとアッパー。プランどおりだった」
ーーこの試合が最後になるのですか?
「フィジカル的にはまだできるが、判断した。フィリピン国民のためにやめる」
ーー判断とは?引退ですか?
「引退します」
一方、敗れたブラッドリーは、「よくわからない。現実じゃないみたいだ。どれだけ強いパンチをくらったか、よくわかっていない。彼は、ハードでクイックなファイターだった。パッキャオは素晴らしかった。私よりもスピードがあったし強かった。勝者にふさわしかった。私は試合を続けるが」と、勝者を称えた。
パッキャオは、引退を明らかにしたが、プロモーターのボブ・アラム氏は、ずっと引退という言葉を意識的に使っておらず、パッキャオの引退には、懐疑的な声も現地では多い。こちらも再起の噂があるメイウェザーとの再戦、人気、実力共に急上昇中のホープ、WBO世界スーパーライト級王者、テレンス・クロフォード(28歳、米国)との世代交代マッチの実現なども、まことしやかにささやかれている。
(THE PAGE)
まだまだ十分できるし、再起もありだろう。
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