[アムステルダム/北京/マニラ 12日 ロイター] - オランダ・ハーグの仲裁裁判所は12日、中国が南シナ海で主権が及ぶと主張している境界線「九段線」について、中国には同海域内の資源に対する歴史的な権利を主張する法的な根拠はないとの判断を下した。
また、中国当局の警戒行動はフィリピン漁船と衝突するリスクを生じさせたほか、人工島などの建設活動によりサンゴ礁に回復不能な損傷を与えたと指摘した。
これに対し中国外務省は、中国人は同海域で2000年以上も活動してきた歴史があり、排他的経済水域(EEZ)の設定は可能と主張し、仲裁裁判所の判断を受け入れない考えをあらためて示した。
中国は南沙(スプラトリー)、西沙(パラセル)諸島を含む南シナ海の島々に対する主権を有し、中国の立場は国際法と国際慣行にのっとっていると強調した。
中国の王毅外相は、今回の動きは始めから終わりまで茶番であり、緊張や対立を深める結果となったとする一方、状況を正しい軌道に乗せる時期が来ており、フィリピンのドゥテルテ新政権は関係改善への対応に誠意がうかがえると述べるなど、融和的な姿勢もにじませた。
フィリピンのヤサイ外務相は記者会見で「この重要な判断が及ぼすものについて慎重かつ徹底的に精査している」とした上で「関係国・地域に対し自制と誠意を求める。フィリピンは今回の画期的な決定を強く支持する」と述べた。
日本政府は仲裁判断が最終的なもので、紛争当事国を法的に拘束するとの見方を示した。ベトナムな歓迎する意向を表明する一方、台湾は受け入れないとした。
ISEASユソフ・イシャク研究所のイアン・ストーリー氏は「南シナ海の管轄権を主張する中国にとって、今回の判断は法律的に大打撃で、中国は今後、間違いなく激しい怒りを表明してくるだろう。南シナ海で一段と積極的な行動をとる可能性もある」と述べた。
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