12月1日、現役引退を決断した元巨人の矢貫俊之投手(33)は、1通のLINE(ライン)を送信した。自身の引退を報道する記者に送ったのは、矢貫の誠実さと人間味がにじみ出る文章だった。
「これまでたくさんの人達に出会い、助けていただき、野球を続けることができました。ありがとうございました。特に家族、両親には感謝しかありません。そして、プロでの8年間、応援してくださいましたファンの皆様、本当にありがとうございました」。
「正直まだやれるという、悔しい気持ちもありますが、これからの人生、次の仕事にも、この思いと情熱を持って頑張っていこうと思います」。
野球とともに、成長し続けた。仙台育英時代はベンチ入りさえ逃したが、常磐大、三菱ふそう川崎で経験を積み、プロ入りの夢をかなえた。「高校、大学、社会人、プロと人との出会いに恵まれ、今の自分があると思います」と胸を張った。「恩返しできなかった」と唇をかむが、周囲の脳裏に雄姿は刻まれた。
最高の思い出には、初選出された13年のオールスターを挙げた。両親、友人らが駆けつける中、地元の福島で凱旋(がいせん)登板。「選んでくれた栗山監督に感謝したいですし、いい思い出です」とかみしめた。プロ通算は121試合で6勝8敗1セーブ、防御率3・76。全力で駆け抜けた8年間だった。
新たな仕事場は、巨人軍の営業企画部兼運営部に決まった。「野球をやってきて、つらいことはいっぱいあったし、不安も多かった。でも、その経験を生かせれば、次の舞台でも頑張れるのかなと。また、情熱を傾けられる仕事を与えてくれた球団には、感謝の気持ちでいっぱいです」と思いを込めた。【久保賢吾】
(日刊スポーツ)
元日本ハムよりも、元巨人の響きがよい。
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