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スポーツビジネスの第一人者と、スーツ業界の「革命児」との間に何があったのか――。東京地検特捜部が26日に東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事(78)宅などの捜索に乗り出した汚職事件。五輪のスポンサー選定の公平性が問われかねない事態に、大会関係者らからは困惑と驚きの声が上がった。 「東京地検です」。26日午前9時半ごろ、雨が降りしきる中、同地検の係官4人が東京都世田谷区の高橋元理事宅のインターホンを鳴らした。1分程度のやり取りの後、門が開き、その後は車両や複数の係官が断続的に敷地を出入りした。同じ頃、元理事の古巣に当たる大手広告会社「電通」の東京都港区の本社でも、係官が捜索に入る姿が見られた。 高橋元理事は電通のスポーツ局で長年活躍した。関係者によると、国際スポーツイベントに関わる中で国際オリンピック委員会(IOC)や国際サッカー連盟(FIFA)の要職者と直接やり取りできる独自のパイプを築き、同社の専務や顧問を務めた末、2011年に退任した。 こうした経験や人脈を期待され、東京五輪の招致活動にも携わり、14年6月に組織委の理事に就任した。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった20年3月、東京五輪の延期論をいち早く提唱したといい、実際に延期が決まった。組織委に出向経験がある電通関係者は「スポーツビジネスの世界では誰も逆らえない存在。五輪のことは高橋さん抜きでは進められない」と印象を語った。 一方で、周囲からは危うい評価もつきまとった。組織委の別の元理事は、理事会で「電通側に配分されるスポンサーの協賛金が大きすぎる」と意見したところ、高橋元理事から「きちんと経費として使っている。それだけ費用がかかるんだ」と色をなして反発されたという。証言した元理事は「電通の立場で発言しているようだった」と振り返った。 「フィクサー」のように振る舞うことへの反発も少なくなく、競技団体の関係者は「利権屋にしか見えなかった」とこぼす。また、あるスポーツ団体幹部は「突破力があり頼りになる半面、高圧的で扱いにくい。電通も持て余すようになった」と見る。 ◇青木前会長は「スーツ業界革命児」 一方、賄賂を提供した疑いが持たれているAOKIホールディングス(HD)の青木拡憲(ひろのり)前会長(83)は20歳のころ、出身地の長野市で古着の背広の行商として起業した。郊外型の店舗を全国に広げ、オーダースーツが全盛だった1980年代には、毎日着替えられる価格帯を目指して「織る・縫う・売る」を全て自社で行う体制を確立。自身の一代で紳士服業界2位の地位を築いた。 その後、クールビズの普及などで紳士服の売り上げに陰りが見えると、カラオケやインターネットカフェなど経営の多角化を目指した。AOKIHDのある幹部は「前会長には天性の経営手腕がある。経営の第一線からは退いたが、今でも信頼を置く社員は多い。不正に手を染めていたとは信じたくない」と声を落とした。【加藤佑輔、北村秀徳、小林悠太、飯田憲】 ◇3万着以上を売り上げ AOKIホールディングスは、東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー契約に基づき、審判・技術役員の制服を製作し、一般向けの五輪エンブレム入りスーツも販売した。 AOKIHDの発表資料によると、審判・技術役員の制服はジャケットとパンツスタイルで「品格と気品」を表現。ネクタイやスカーフを自由に選べるようにするなど、「ジェンダーニュートラル」(性的中立)の観点を重視した。2019年夏から販売した五輪エンブレム入りのスーツは、日本選手団の活躍とともに反響が広がり、3万着以上を売り上げたという。 また、同社は日本選手団の公式制服も手がけ、白のジャケットと赤のパンツの「日の丸カラー」で、1964年東京五輪の赤ジャケットと白パンツとは逆の色づかいとした。選手団の制服は日本オリンピック委員会(JOC)との契約に基づくものだった。【島袋太輔】
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モラルやコンプライアンスの欠如で、金儲けしか眼中にないのでしょう。結果、五輪経費が余分にかかり税金の無駄遣いでしょう。
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