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政府が26日に閣議決定した安倍晋三元首相の国葬の費用は2億4940万円となり、過去の首相経験者の葬儀での負担額を上回った。海外の要人も含め多くの参列者が見込まれることなどを挙げて国民の理解を得たい考えだが、国葬そのものへの反対論は根強く、内閣支持率の急落の一因ともなった。政府は弔旗掲揚などを求める閣議了解は見送るなど世論の動向に神経をとがらせている。 ◇保守支持層へのアピールにも暗雲 「国民に対して喪に服することや政治的評価を求めるものではないことをしっかり説明していく」。松野博一官房長官は26日の記者会見でこう強調した。 1967年の吉田茂元首相の国葬では省庁の弔旗掲揚や黙とうなどの弔意表明のあり方について、閣議了解したが、安倍氏の国葬について松野氏は「国として閣議了解は行わない」と明言。自治体や教育委員会など地方機関に対する弔意表明の協力要請も「行う予定はない」と説明した。国民の間にある反対論に配慮し「抑制的」な対応に終始した。 国葬に対する「逆風」は政府にとって誤算だった。 国葬の実施は、岸田文雄首相の強い意向が反映された。7月8日に安倍氏が亡くなってからわずか6日後、首相自ら記者会見で発表した。同22日には国葬の日取りと会場を閣議決定。当時、官邸内にも異論はなく「(世論の)反響が質的に違う。だからこそ賛同が多い」と自信に満ちていた。 実際、当時は銃撃事件の衝撃は大きく、国民の間でも安倍氏を悼む姿が目立った。自民党本部の献花台には多くの人が足を運び、7月16、17日に毎日新聞と社会調査研究センターが実施した世論調査で、安倍氏の功績を「評価する」と答えた人は7割に上った。首相の早期決断はこうした当時の空気感を捉えたもので、政府内では国葬賛同者からの寄付を受け取るための「安倍基金」の創設案まで浮上した。 ところがその後、事件の背景として、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家との「関係」がクローズアップされると、状況は一変した。 首相は8月10日に内閣改造・自民党役員人事に踏み切ったが、新閣僚や党役員との「関係」が次々と判明した。毎日新聞と社会調査研究センターが20、21日に行った世論調査では、内閣支持率は16ポイント減の36%まで下落。国葬についても「反対」が53%と「賛成」の30%を上回った。自民党の閣僚経験者は「旧統一教会問題に対する世論は厳しく、国葬も裏目に出た」と嘆いた。 首相が国葬実施を主導したのは、もともと自身の指導力をアピールするとともに、安倍氏を支える保守支持層を引き寄せる狙いがあった。首相は国葬について「故人(安倍氏)に対する敬意と弔意を国全体として表す儀式」と強調してきたが、今回、弔意表明を求める閣議了解を見送るなど反対論に配慮する姿勢が際立ったことで、逆に安倍氏支持層の反発を招くリスクを抱えた。松野氏は26日、国葬当日に中央省庁で弔意表明を行うかどうかを問われ「検討中」と述べるにとどめた。保守層と反対論のはざまで対応は揺れている。 政府は15日に閣議決定した答弁書で、首相経験者の葬儀のあり方に関し「基準策定を含む法整備を行うことは考えていない」と明言した。だが、国葬開催の基準作りを求める声が今後、強まる可能性がある。【中村紬葵、安部志帆子】
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法整備により国葬の明確な基準が必要でしょう。国民の声を聞いて国葬でない方法もあるでしょう。
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