伝統球団の18番を背負う男の「このままで終われるか」という意地が、衝撃の再契約条件となって表れた。内容は本紙既報通り、驚がくの9割減だった。「単年5000万円」という厳しい条件で判を押した杉内は、自筆サイン入りの文書を球団を通じて発表。6勝6敗、防御率3・95に終わった今季を振り返り「シーズン途中で戦線を離脱し、チームにとって4連覇のかかる重要な時期に全く戦力になれなかったことをとても悔しく思います」とコメントした。
杉内は今季が4年20億円の大型契約最終年。現状5億円からの4億5000万円ダウンは協約上の減額制限を超え、巨人・小笠原(2012年オフ)の3億6000万円減(4億3000万円→7000万円)を上回る史上最大減俸となる。
基本年俸以外に出来高条項も設定されたが、クリアのハードルは低くない模様だ。堤GMは「杉内は18番の投手で、もともとの期待値が高い。(一軍復帰程度で)簡単に手にできる出来高ではないと思う」と語った。
今回の契約条件は、衝撃的とも言える内容だ。杉内はソフトバンク時代に契約交渉のもつれから、涙の移籍へと発展した経緯もある。今季6勝6敗、防御率3・95という寂しい数字からも難交渉が予想されていたが、実際の話し合いは驚くほどスムーズに進んだようだ。
球団関係者によれば、「われわれとしても、成績と手術を考慮すれば厳しい条件を提示せざるを得ない。ただ今回の交渉の席では、杉内側からも『返上させていただきたい』と制限を超える減額の申し出があった」という。
実際、杉内もこの日、発表した文書で「私から球団にお願いし、来年度については基本年俸をギリギリまで抑え、出来高で評価していただくことで了解をいただきました」と、大減俸については、自ら申し出ていたことを明かした。
杉内と球団の双方にあったのは、今回の股関節手術が、それだけ大きなリスクを伴うものとの共通認識だった。「リハビリは順調だが、開幕には当然、間に合わない。われわれが過去に同じ箇所を手術した選手の術後経過を調べても、結果は正直思わしくない。それを本人も理解しているからこその申し出だったと思う。『それでも、もう一度投げたい』という彼の強い意思を感じた」(同)
球団としても、杉内には“栄光の背番号”を手渡した責任がある。選手生命に関わる故障といっても、リーグ3連覇の功労者をあっさり切り捨てるのは余りに非情だ。長期リハビリを見込み、ひとまず育成選手にすれば支配下枠を空けることもできたが「18番の投手に3桁の番号をつけさせるわけにはいかない」と判断。杉内もこの球団のはからいを意気に感じていたという。
ただ、杉内復活への道のりが険しいことには変わりない。難手術からのリハビリを乗り越えても、その後は一軍の厳しい競争が待つ。結果を残せなければ、今度こそ引退の瀬戸際に追い込まれるだろう。「来年以降も巨人軍の背番号18に恥じない投球をお見せしていけるよう頑張っていきたい」と誓った左腕は、マウンドで輝く姿を再び見せられるか。
(金額は推定)
(東スポWeb)
避けて通れない岐路に立っている。復活か、引退か。
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