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2015年12月25日金曜日

<中高年ライダー>ご用心 「リターン」若い頃とは違います

事故多発で啓発活動 講習会は活況

 40代、50代の中高年ライダーによるバイク乗車中の死亡事故が昨年177人に上り、10年前の約2倍に達していることが警察庁のまとめで分かった。いったんバイクから離れていた「リターンライダー」が増える一方、体力の低下が事故につながっているとみられ、九州の各県警は県境をまたいだ合同取り締まりや啓発活動に乗り出している。ライダー側の意識も徐々に変わり、各地で開かれる安全運転講習会は活況を呈している。【平川昌範】

 警察庁によると、昨年のバイク(原付きを除く)による事故死者数は442人で、2004年(675人)より3割以上減った。しかし、このうち中高年(40、50代)は昨年177人に上り、04年(93人)のほぼ2倍になった。39歳以下は毎年減少しており、中高年の割合は昨年40%と、04年の13%から急増した。

 こうした状況を受け、大分県警は10~14年のツーリング中の死亡事故(19人)を分析した。年代別では40代が最多で5人、50代の4人が続き、全国同様の傾向だった。行楽期に多発していることやスピードの超過などの特徴があったという。

 県境をまたいで走るライダーが多いため、大分県警は熊本、福岡両県警に呼びかけ4月、大分県日田市の国道や広域農道で初めて3県警合同の取り締まりをした。速度違反などを検挙するだけでなく、検問も実施し「スピードは控えめに」「リターンライダーはご用心」などと書いたチラシも配った。9月には大分、宮崎の両県警が、10月も福岡、佐賀の両県警が合同で取り締まりを実施するなど、九州各県で警察による連携が広がる。

 ライダー側の認識も次第に変化している。国内のバイクメーカーなどでつくる「日本二輪車普及安全協会」(東京)によると、全国で毎年約100回開いている有料のバイク安全運転講習「グッドライダーミーティング」に近年、中高年の参加者が目立つという。

 9月6日、福岡市で開かれた講習には定員(30人)を超える40人が参加し、このうち約7割は中高年だった。11月8日、熊本県菊陽町であった講習も、参加者11人のうち6人が中高年だった。

 講習では、急ブレーキ▽S字▽交差点での右左折▽スラローム(蛇行)走行--などの実技を行う。協会の担当者は「バイクは車と違い体全体を使って操縦する。年を取るにつれて体力が落ちれば、特に大型バイクではカーブを曲がりきれない事故などが起きやすい」と指摘。講習でも、体力に合った速度を心がけるよう助言しているという。

 ◇リターンライダー

 若い頃にバイクに乗っていたが、仕事や子育てなどで乗らなくなり、時間や経済的にゆとりが出てきた後、再び乗り始めたライダー。日本二輪車普及安全協会によると、2005年ごろから増え始め、06年には中高年向けのバイク専門誌も発刊された。

 ◇オートバイ購入者も高齢化

 日本自動車工業会(東京)によると、オートバイ購入者の平均年齢は年々高くなっている。排気量251~400CCでは2005年度は33.4歳だったが13年度は42歳。40、50代で48%を占める。ホンダの広報担当者は「若者のバイク離れが進み、中高年が市場を支えている」と語る。

 鹿児島県日置市の元会社員、吉村昇さん(65)もリターンライダーの一人。高校時代にバイクを楽しんだが、就職後に遠ざかり、子供が独立した後の15年ほど前、バイクを購入。現在は月1、2回、ツーリングに出かける。

 3年ほど前、ツーリング中に仲間が転倒し、骨折して入院。以降はスピードを控えるようになった。最近は車庫からの出し入れがスムーズにできなくなったといい、進路変更や交差点での右左折時は特に注意している。「体力は低下している。事故に遭わないよう気をつけて運転している」と話した。【平川昌範】
(毎日新聞)

 高齢化で事故は哀れ。

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