ページビューの合計

2015年12月27日日曜日

慰安婦問題 <元慰安婦>政府、支援金を検討…法的責任認めず

 政府は26日、慰安婦問題の最終決着に向けて韓国側に提案する見込みの新たな基金を活用し、元慰安婦に支援金を支給する検討を始めた。基金の規模は数億円以上に膨らむ可能性がある。日韓両政府は27日に外務省局長協議をソウルで開催し、28日の外相会談に向けて詰めの調整を行う。

 政府は、新基金を創設し、日本の政府予算を充てる検討をしている。日本は元慰安婦に対する賠償問題は、1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場だ。しかし、支援金は、日本の予算による新基金から支出することで、政府の関与を示し、韓国側に理解を求める狙いがある。一方で、法的責任につながる賠償には該当しないと位置付ける。韓国側は元慰安婦らを説得するため、日本政府の関与を強調したい考えとみられ、支援金の性格をどう位置付けるかは、協議の焦点の一つになりそうだ。

 過去には、95年に設立された「アジア女性基金」(財団法人)が民間からの寄付金を原資にして、元慰安婦に「償い金」を1人当たり200万円支給した。法的責任を避けるため、寄付金をもとにして日本政府が直接関与しない形式をとった。これに加えて、政府予算を財源に元慰安婦に1人当たり300万円相当の医療・福祉支援を行った。

 当時、韓国側は、実施主体が民間団体のため「政府の責任逃れ」と反発し、元慰安婦として名乗り出た韓国人女性約240人のうち、受給したのは60人だった。1人当たり計500万円、約3億円の支出となった。

 現在は支援金の対象となる元慰安婦は46人いる。女性基金と同規模以上の支援を実施するには、新基金の規模は数億円以上が必要になるとみられる。

 アジア女性基金が2007年に解散した後、日本政府は医療・福祉支援の部分については、フォローアップ事業として継続してきた。16年度予算案では約1300万円を計上。この事業を新基金を使って拡充することも検討している。

 日本側はこれまで、安倍晋三首相が元慰安婦に手紙を送ることを提案。ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦問題を象徴する少女像の撤去も韓国側に求めている。【小田中大】

 ◇韓国は責任重視

 【ソウル米村耕一】慰安婦問題で韓国側が重視するのは、日本政府が国家としての責任を明確な形で認めることだ。安倍晋三首相が元慰安婦に向けて出す言葉にそうした表現が入ることを求めており、韓国政府関係者は「重要なのは(謝罪の)形式よりも中身だ」と指摘する。

 韓国側が「国家としての責任」にこだわるのは、補償問題について日本側が「法的には解決済み」という立場の変更は困難だと理解しているためだ。ただ「法的責任」という言葉は避けながらも、国家としての責任に関する言及がなければ、元慰安婦や支援団体、国内世論を納得させるのが難しいとみている。

 一方、11月の日韓首脳会談で日本側は、ソウルの日本大使館前にある慰安婦を象徴する少女像の撤去を要求。韓国外務省は「本質的な問題でなんらかの進展があり、解決されれば、関連する部分でも進展がある可能性もある」(尹炳世(ユンビョンセ)外相)と、日本側に一定の配慮を見せ始めている。

 しかし、2011年に募金による少女像の設置を主導した元慰安婦支援団体、韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)の尹美香(ユンミヒャン)常任代表は26日、「少女像は既に(一部の団体の物ではなく)共同の存在になっており、撤去したり、移転したりすることは不可能だ」とのコメントを発表し、韓国メディアが一斉に報じた。

 韓国政府としては、外相会談などを通じて妥結の道筋が明確になり、国内で一定の評価を得た時点で、少女像についても関係団体の説得を進めたい考えだったとみられるが、見通しは不透明になってきている。
(毎日新聞)

 法的責任・少女像と難題山積だ。

0 件のコメント:

コメントを投稿