日本ハム大谷、阪神藤浪らと同じ94年生まれの大型右腕が、来秋、球界に衝撃を与えようとしている。中日中田スカウト部長は「12球団が田中にいっても不思議はない。外れ覚悟でいくか、最初から田中以外を仕留めにいくか。それは戦略次第」と言う。どちらにしても、2016年のドラフト会議は田中を軸にして回る。
4400グラムで誕生したビッグベビーは、中学卒業時に身長180センチを超えた。創価高では右肩を痛めほぼ外野手として過ごし、創価大2年の春ついにベールを脱いだ。東京新大学リーグの共栄大戦で公式戦初登板すると、最速を6キロ更新する最速151キロをマークして11奪三振、完封した。田中は「高校の野球部引退後、本格的にトレーニングしたら体重が増えたんで」と笑う。
現在の最速は156キロ。右腕を振りムチのようにしならせる。「腕が長いと言われます」。リーチは197センチで、身長より11センチも長い。打者に近いところで投げられるため有利で、これが速球の理由でもある。大学2年から体作りにもこだわりを持ち、「筋肉を大きくするプロなので」とボディービルダーのブログをチェック。スナック菓子のたぐいは一切口にしない。
思いを背負って、投げる。今秋から背負う「背番号15」は23年前、突然死した鳥居輝之さん(享年21)がつけていた。創価大・岸雅司監督は「鳥居は真面目な子でね。今、彼のお父さんが体調を崩されていて、励ます意味で永久欠番を解禁した。半端な投手ではなく(田中)正義だから、大切な番号をつけさせる気になれた」と託した理由を明かした。
エース兼主将として目指すのは初の日本一だ。「主将になったのは自分に逃げ道をつくらないため。『正義で負けたら仕方がない』と全員が思える投球がしたい。最速160キロは自然と出てくれればいいです」。覚悟と挑戦の2016年が幕を開ける。【和田美保】
(日刊スポーツ)
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