町教委によると、男子生徒は第1志望の公立高校とともに、第2志望で校長推薦が必要な専願による私立高校の受験を希望していた。女性担任は昨年11月中旬の進路指導で、1年時に万引きしたと誤って記載された記録に基づき、男子生徒に「推薦できない」と説明した。推薦基準は校長の判断で昨年11月に改定され、非行行為の勘案対象はそれまでの3年時のみから1年生以降となった。だが男子生徒の自殺後、基準を緩和した。
進路指導は同12月8日まで計5回実施。他の受験方法を生徒に勧め、保護者にも伝えるように指導したという。その際、担任は万引きについて生徒に尋ねたが「生徒から否定するような発言はなかったので、確認が取れたと思った」と学校の聞き取りで説明したという。
記録は生徒指導の会議用で、指導教員が、会議資料を作成する別の教員に万引きをした生徒の名前を口頭で伝えた際、男子生徒の名前を誤って記載したという。会議で誤記載に気付いてその場で訂正したが、記録の内容を保存した電子データは修正されなかった。
同8日には三者面談による進路指導が予定されていたが男子生徒は現れず、父親が自宅で倒れているのを発見し、その後に死亡が確認された。自宅には自殺をほのめかす書き置きがあったという。学校は翌9日に開いた全校集会で「(生徒は)急性心不全で急死した」と説明。記録が誤っていたことも分かり、遺族に伝えた。
8日夜に記者会見した同町の高杉良知教育長は、「誤った記録に基づいて専願での受験はできないとの指導がなされていた。学校内だけで考えると他の要因は見当たらず、(自殺の)原因になったと思っている」と述べた。同校の坂元弘校長は「本来なら推薦できるにもかかわらず、できないと伝えて生徒を大変苦しめた」と陳謝した。また「男子生徒は明るくまじめで学力も上位だった。自分の考えもしっかりしていて、友人が非常に多かった」と述べた。町教委は自殺の経緯を調べる第三者委員会を設置する方針。
町教委は公立高一般入試が終了した8日夜に保護者会を開き、生徒の自殺や学校のミスの経緯などについて説明し謝罪した。出席した保護者によると、保護者からは「生徒のSOSに気付かなかったのか」などの質問が相次いだという。男子生徒の同級生の保護者という男性(47)は「学校が生徒の声に耳をかたむけていれば、ふせげた話ではなかったのか」と憤った。【石川将来、植田憲尚、高橋咲子】
(毎日新聞)
ミスで自殺か。
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