新型コロナウイルスの感染拡大「第7波」で、検査需要が急速に高まり、医療現場の対応が追いついていない。発熱外来の逼迫(ひっぱく)で検査も受けられない「検査難民」に加え、検査キット不足や結果判明の遅れなども再び表面化。濃厚接触者の待機期間短縮や、検査キットの無料配布などの政府方針により、混乱に拍車がかかる懸念もある。
■第5波、第6波から全く改善されず
東京都葛飾区の40代男性は7月中旬にのどの違和感を覚え、症状が悪化したため、2日後の朝から医療機関を探し始めた。地元のかかりつけ医に「患者がいっぱいで無理」と言われ、その後も発熱外来のある医療機関10カ所以上に電話したが、軒並み断られた。
夕方に隣接する足立区のクリニックを受診でき、陽性と判明したのは午後10時ごろだった。男性は「都や区の相談窓口も含め20件近く連絡したが、何度も『門前払い』を食らい、心が折れそうだった。第5波、第6波の時も同じ状況だったはずなのに、全く改善されていない」と漏らす。
「発熱外来を置く医院の業務はどこも崩壊寸前だ」と訴えるのは、内科・小児科クリニック「高橋医院」(東京都世田谷区)の高橋由光院長だ。コロナの診断や検査に関する問い合わせが1日100件以上あり、全てに対応できない。仮に受診できたとしても、検査キットの在庫が心もとない。
「抗原検査やPCR検査のキットは今日明日分はあるが、このままの状況が続けば近日中になくなってしまう」(高橋氏)
■PCR検査も結果判明に遅れ
虎ノ門日比谷クリニック(東京都港区)でも常時10~20個の在庫を抱え、1日数個程度を使用するペースだったが、7月以降は入荷してもすぐに使い切ってしまう状況だという。
大和宣介院長は「卸問屋は申し込み順に出荷しているようだが、順番が回ってこない。抗原検査ができなければPCR検査を受けてもらうしかないが、結果が翌日以降になってしまう」と戸惑いを隠さない。
PCR検査の方も、結果判明までに時間がかかるケースが出ており、検査を外注している別のクリニック院長は「今は検体を送った2、3日後にならないと結果が届かなくなった」と打ち明ける。
■キット「どこにどのような状況であるのか」
感染者急増と医療逼迫への対策として、政府は濃厚接触者の待機期間を最短3日間に短縮するほか、症状が軽く重症化リスクの低い人には発熱外来のほか、自治体の窓口、薬局などで抗原検査キットを無料配布し、自ら検査してもらう方針を示している。
ただ、3日間で待機期間を解除するには、2日目と3日目に抗原検査で続けて陰性を確認する必要がある。厚生労働省は7月19日時点で1億8千万回以上のキットの在庫を確保しているとしているが、1人が2回ずつ使った場合、全国民には行き渡らない。
日本医師会の松本吉郎会長は27日の記者会見で、「現場には(検査キットの)不足感が非常に強い」との認識を示し、「国は十分な量があると説明するが、実際にどこにどのような状況であるかはつまびらかにされていない」と注文をつけた。
キットの無料配布が発熱外来の業務により負荷をかけると危惧する声も聞かれる。サルスクリニック日本橋(東京都中央区)の小畑正孝理事長は「医療機関は既にパンク状態のため、自己診断の方法は必要だ」としながら、「症状があれば学校や職場でも検査を求められることがあり、キットの需要はますます高まる。キットが足りないことへの認識を社会全体で共有すべきだ」と話している。(外崎晃彦、長橋和之)
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感染爆発で全てがひっ迫も、検査体制の拡大は急務でしょう。

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