軽減税率の対象は、酒類を除く生鮮食品、加工食品など飲食料品全般。「安倍官邸&公明」VS「自民党&財務省」で品目をめぐる議論が対立したが、官邸&公明連合に軍配が上がった。昨年の衆院選で軽減税率の導入を公約、当初自民党が想定した「生鮮食品」に、加工食品も加えるよう強く主張した公明党は、事実上の「満額回答」を得た。
加工食品と線引きが難しい外食も含める方向だったが、必要な財源が約1兆3000億円に増える上、高級料亭も対象にするのか、疑問が浮上。麻生太郎財務相が外食への拡大に反対し、土壇場で見送られた。
線引きで迷うケースは多そうだ。ファストフードを店内で食べれば外食だが、持ち帰りなら加工食品の扱い。コンビニで買った弁当を店内で食べると、外食になるのか。混乱は必至だ。「1人負け」の外食産業から反発も強まりそうだ。
89年4月の消費税創設以来、複数の税率は初めて。当初、自民党が描いた生鮮食品だけなら、財源は約3400億円。公明案への譲歩を強く迫ったのは、安倍晋三首相ら官邸だった。
来年の参院選での公明との選挙協力を重視。安保関連法成立で「借りがある」(関係者)ことも、公明案に配慮した理由の1つだ。野党の党総裁時代、民主党政権とともに消費税10%増税を決断、軽減税率で巨額の財源を投入することに最後まで抵抗した谷垣禎一幹事長は、押し切られた。優先されたのは国民のための議論ではなく、永田町の論理。インド訪問中の首相は、協議決着を谷垣氏から電話で知らされ、「ご苦労さまでした」と述べた。
確保の見通しが立った財源は、1兆円のうち約5000億円で、与党は来年度末までの確保を目指す。選挙対策を優先した首相の対応には、自民党内でも不満が渦巻くが、1強の首相にものが言えない自民党の現実も、露呈した。
(日刊スポーツ)
選挙対策や支持率もあり、世論を反映した政策決定なのだろう。
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