こうした一方、労組・日本プロ野球選手会の定期大会(4日、大阪)では思わぬ問題が指摘された。選手側から「球団が事前にメディアなどを通じて“宣言残留を認めない”というのは脅しのようなもの。紳士的ではないのでやめてほしい」というものだ。
宣言した6選手のうち、木村昇吾内野手の所属する広島の球団幹部は「宣言するなら、お互い次のステップに進むことになる」と話したとされ、今江が涙ながらに移籍を決意したのもロッテが宣言残留を認めないためだった。
今年は宣言しなかったが、ヤクルトの畠山和洋内野手も日本シリーズ終了後、いったんは「残留が基本線だが他球団の意見も聞いてみたい」と発言。しかし数日後に「球団が宣言残留を認めない」と一部報道が出て、結局は宣言なしに終わった。ヤクルトの場合は田中浩康内野手が宣言した上で残ることが決まっており、厳格な内規ではないとみられている。
選手会では「権利であり、他球団の話を聞いてみたいという選手はいる。FAの趣旨が理解されていない」と説明。日本野球機構(NPB)との事務折衝でも議題に乗せる方針で、12球団側の対応が注目される。
FA権は取得までに時間がかかり、選手にとっては大事な権利のひとつだ。一方、球団とすれば「残留するなら宣言は必要ないだろう」という論理だが、ここには理由がある。マネーゲームを招く危険性が高いからだ。
ある球団関係者はこのオフの話として「うちのFA権を持つ選手に某球団が金額も含めたアプローチをしていた」と明かす。事実ならタンパリング(協約違反)だ。実際に金額が伝えられることで、選手は次に所属球団との交渉で強気の金額をアピールできる。関係者は「アプローチした球団が獲得するならいいが、残留なら予定していた年俸額に上積みされるから、事実上の“損失”ですよ」と憤る。
FA権を持つ選手は「権利なので制限されるのはやはりよくない。米大リーグ(MLB)のように、一定期間が過ぎたら自動的にFAになればいいことだと思う」と話す。だが「球団側の“育ててきた”という考えや、ファンから見れば“裏切り”という思いも解はできる」と一定の理解を示してもいる。
日本ではMLBのようなドライな選手移籍はなかなか難しい。過去にも遺恨めいたFA移籍はいくつもあった。「生涯○○」と1つのチームで野球人生をまっとうする姿がもてはやされる傾向にあるのも事実。日本らしさでもあるが、FA制度を難しくしている要因でもあるようだ。(芳賀宏)
(産経新聞)
認めない球団に見切りをつけるしかないだろう。
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