原告側は「国会は長期にわたって立法を怠る立法不作為があった」として国家賠償を求めている。立法不作為が争点となった訴訟で最高裁は「法令は憲法に反するか」と「国会が立法をしなかったことは違法か」を区別して判断してきた。
夫婦別姓訴訟の原告側は、人には「姓の変更を強制されない権利」があるなどと主張。結婚の際に姓の変更を迫られることは、憲法が保障する個人の尊厳や結婚の自由の侵害だと訴える。ただ、最高裁が「新たな権利」を正面から認めた例はほとんどなく、あるベテラン裁判官は「違憲とするのは相当に思い切った判断で、容易ではない」と見る。
再婚禁止期間訴訟は、子の父は誰かというトラブルを回避するために設けられた規定が、過剰で違法な制約になっていないかが焦点だが、DNA型鑑定などの技術が進歩した今では時代遅れとの見方が根強い。学者も「100日あれば十分」との立場が圧倒的に多く、原告側は「女性に対する行きすぎた制約だ」と訴える。
規定が違憲とされても、そのまま国会の賠償責任が認められるわけではない。最高裁は1985年、「立法の放置が容易に想定しがたいような例外的な場合」に限って賠償責任が認められると判断し、要件を厳しく設定した。この判例に基づくと、憲法判断に踏み込まず、国会の賠償責任を否定して原告敗訴とすることもできる。
一方で大法廷は2005年、在外邦人の選挙権の制限を違憲とした判決で「違法性は明白で、国会は長期にわたって立法措置を怠った」と最高裁として初めて立法不作為による国家賠償を認めた。85年判例の要件を緩めたとの見方もあり、この点の判断も注目される。【山本将克】
(毎日新聞)
どんな憲法判断になのか。
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