協議終了前の工事再開表明は、最初から結論ありきだったことを示すものだ。翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しの決断を遅らせるための時間稼ぎだと受け止めざるを得ない。
翁長知事は協議終了後に「協議が延期されなければそこからの対応になる。ありとあらゆる手段を使って辺野古に基地は造らせないということはしっかり持っている」と述べ、承認取り消しを示唆している。当然の判断だろう。
協議では普天間飛行場移設問題の原点についても翁長知事と菅長官との間の溝は埋まらなかった。対日講和条約による沖縄の日本からの切り離しと米軍の強制接収による基地建設の歴史を踏まえた県民の「魂の飢餓感」と訴える翁長知事に対し、菅長官は「橋本・モンデール会談が原点だ」と従来の見解を繰り返した。
菅長官は普天間飛行場が強制接収によって造られたとの歴史に決して目を向けようとしない。自分にとって都合の良いことしか見なかったことにする「ご都合主義」の態度を取り続けている。
「ご都合主義」は来県中の訪問場所や面談者の選択にも表れている。県内9市の市長と面会して意見交換したが、この場には辺野古移設に反対を表明している名護市長と那覇市長は呼ばれていない。
菅長官は東村高江などへのヘリパッド建設計画を容認している東・国頭両村長との会談で名護市を訪れたが「唯一の解決策」だとして建設を強行している辺野古には立ち寄らなかった。一方で普天間第二小学校を訪れて普天間飛行場の「危険性除去」を強調した。辺野古移設を正当化したいようだ。政府に都合の良い首長としか会わず、都合の良い場所にしか足を向けない。菅長官が述べた「懸命に努力して理解を求める」という言葉がむなしく響く。
そして菅長官は仲井真弘多前知事が承認したことを強調し、翁長知事が承認を取り消しても工事を続ける考えを示している。これこそ「ご都合主義」の極みだ。政府の強硬姿勢に対抗するには翁長知事が言うように「ありとあらゆる手段を使って辺野古に基地を造らせない」ことしか選択肢はない。
(琉球新報)
本当に、辺野古に基地を造らせないことで、よいのだろうか。
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