さながら今秋ドラフトの品評会の様相を呈しているU18W杯。12球団のスカウトがネット裏に陣取っているものの、彼らの目的は1位指名候補の絞り込みと2位以降の順位付け。
逆に言えば、この時期に選手の評価が大きく変わることはほとんどない。
26日の大学選抜との試合では県岐阜商の高橋純平、大分商の森下暢仁の上位候補右腕が前評判通りの投球を見せられなかったが、多くのスカウトは「2人とも甲子園に出ていないし、実戦から離れていた。あの試合での投球は何の参考にもならない」と意に介さない。
そんな中、1人だけ「アイツは何位がふさわしいのか?」と、いまだに評価が定まっていない野手がいる。それが仙台育英の遊撃手、平沢大河だ。俊足強肩で守備力はすでにプロ並み。26日の試合では来年のドラフトで競合必至の田中正義(創価大)の153キロをとらえて右前打を打っている。楽天の星野SAも「鳥谷以上やな」と絶賛だ。
あるスカウトは「素晴らしい選手だが……」とこう話す。
「速球への対応力は二重丸。問題は変化球です。ボールの見極めがきちんとできるのかどうか。甲子園でも変化球を打ちづらそうにしていましたからね。高校生を指名する時に見るべきは足や肩などの素質面。打撃はプロに入ってから何とでもなるとはいえ、ベースのはるか手前でワンバウンドするボール球に手を出すような選手はなかなか変わらない。仮にW杯で変化球に翻弄されるようなら、上位指名も怪しくなる。4年も5年も二軍で鍛えなきゃいけないというならば、下位指名で十分」
もっとも、28日のブラジル戦ではその判断がつかなかったもよう。前出のスカウトは「直球が130キロ未満の投手ばかりで、ボールも変化球なのか真っすぐが垂れているだけなのかわからない。見極めも何もあったもんじゃないよ」と、苦笑いで球場を引き揚げた。
(日刊ゲンダイ)
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