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2016年10月23日日曜日

【日本シリーズ観戦記】巨人一筋20年の鈴木尚広氏、ジョンソンの名演技にだまされた

 巨人一筋20年、今季限りで現役引退した鈴木尚広氏(38)が、日本シリーズ第1戦を訪れ、スポーツ報知に「観戦記」を寄稿した。初めてネット裏の記者席から野球を見た足のスペシャリストは、両チームの走塁に注目。勝負を分けたポイントを、独自の視点で分析した。

 ジョンソン投手、だまされました。初回を見た時は「あれっ」と思った。無死一塁、中島選手がバントの構えをしている中、西川選手にけん制球を3球。走者をすごく気にしているように見えました。神経をすり減らして、後半に影響するのではと。日本ハムベンチにもそう映ったでしょう。でも、それは計算し尽くされた名演技。単なるエサまきに過ぎなかったのです。

 けん制球は、投げれば投げるほど、走者にヒントを与えます。ジョンソン投手はあえて、初回にけん制を多投して情報を相手に提供。3回に中島選手、6回に岡選手を一塁に背負うと、初回のけん制球と同じフォームで本塁に投げたり、投球の間隔を変えて投球。細かな工夫で、俊足の走者をくぎ付けにしました。

 この日、個人的に一番のハイライトは7回2死で一塁走者・西川くんの場面。長打の少ない中島くんが打者で、盗塁で得点圏に進めたいところ。走者としては走る前、けん制を1球もらいたい、という心理が働きます。しかし、けん制球は全4球で1球もなし。西川くんはスタートを一度も切れなかった。初回の「3球のけん制」が明らかに利いていました。結果的に中島選手は中前安打でしたが、傷は最小限でした。

 現役時代、ジョンソン投手は走りにくい投手の一人でした。クイックは速くないですが、足の上げ方は何種類もあって傾向がつかみづらく、よく逆をつかれました。重圧のかかる大一番で、これだけ緻密に、冷静に走者とのかけひきができる。日本ハムの機動力を封じた投球を見て、改めてクレバーな投手だな、と感心しました。

 決勝点となった2回の鈴木誠選手の本盗ですが、僕は特に好走塁とは思いませんでした。むしろスタートが少し遅かったですね。1死一、三塁、石原選手の打席で重盗。走者はサイン通りに走っただけで、思い切って動いた広島ベンチが見事でした。大谷投手はクイック、けん制は球界トップクラスで1点を取るのは難しい。次が投手の打順ということもありましたが、執念の采配が大谷投手の動揺を誘い、あそこからリズムを崩したように見えました。

 プロに入って初めて緊張感なく野球を見ましたが、投手がセットポジションに入ると、ついつい投球動作に反応してしまう自分がいました。外から見ると、いろいろなことが見えてとても勉強になりました。
(スポーツ報知)

 残念ながら、ジョンソン投手の出来が良かった。

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