決意に満ちた表情だった。10年ぶりの日本一から一夜明けた30日、日本ハム・斎藤佑樹投手(28)は札幌ドームの荷物整理を行った後、来季への思いを吐き出した。「(2日からの)秋季練習では投げ込みと走り込み…もう練習あるのみです。来年へはもう始まってますから」
今季は11試合登板で0勝1敗、防御率4・56。昨秋キャンプから先発一本で勝負を挑んだが、先発では4回途中5失点した7月28日の西武戦(西武プリンス)を最後に先発登板機会は巡ってこなかった。本来は周囲を笑顔にする明るい性格の持ち主のはずだが、「V旅行は全員参加なんですか? 断ることはできるんですか?」と逆取材してきたのが印象的。悔しさばかりのシーズンだったに違いない。
今春、斎藤がプロ野球選手としてより、一野球人としての強い危機感を口にしていたのを、はっきり覚えている。「右肩をケガしてから、『もう野球をできなくなるんじゃないか。もう野球を辞めないといけないんじゃないか』と何度も思ったことがあります」
プロ2年目の12年後半に右肩の関節唇を損傷した。翌13年以降は目立った活躍ができていない。この右肩痛が影響したのは明らかだ。相手よりも、思うような投球ができない自分、かつて斎藤フィーバーを巻き起こした自分と闘っているように見える。
今年6月5日の巨人戦(東京D)。4点差の7回に名前がコールされると、巨人ファンも含めてドーム内がドッとわいた。1イニングを3者凡退。続く8回の攻撃で味方が1点差に迫る猛攻を見せ、その試合後、栗山監督から「球場を支配する。それも彼の持っている力」とたたえられた。今も熱心な追っかけファンはたくさんいる。斎藤は「ありがたい気持ちもありますし、結果を出せずに申し訳ない気持ちもあります。とにかく頑張らなきゃって思います」と言っていた。
斎藤が輝いた06年夏の甲子園を駆けだし記者として取材し、「いきなり、すごいものを見させてもらった」と感動した一人だ。あれから11年となる2017年。己に打ち勝ち、チームの日本一連覇に貢献する投球を期待したい。(記者コラム・小谷 真弥)
(スポーツ報知)
0 件のコメント:
コメントを投稿