エースの振る舞いだった。日本ハム・大谷は丁寧な言葉で、冷静に試合を振り返った。プロ4年目で初の日本シリーズ。小雨のマウンドで先制点を許し、一発攻勢を浴びた。敗戦の責任を一身に背負い込んだ。
「大一番なので点をやらないことが一番だけど、それができなかった。僕の失点が勝敗を分けた」
リズムが狂ったのは2回に喫した重盗。捕手・大野の送球を、マウンド上の大谷がカットするはずだった。「タイミングが合わなかった。次の打者が投手なので二塁に進まれても良かったけど、サインプレーなので詳しくは言えない」。一度失った流れは取り戻せなかった。4回、先頭打者の松山に155キロを右中間スタンドに被弾。エルドレッドには150キロを捉えられ、バックスクリーン右へ叩き込まれた。1イニング2被弾は14年4月27日のロッテ戦(札幌ドーム)で角中、井口に許して以来2度目だった。
「8番・投手」で迎えた2回の日本シリーズ初打席で左中間二塁打。パ・リーグ投手のシリーズ安打は04年の西武・松坂以来12年ぶりで、7回にも一塁内野安打を放った。ただ、投球では一度も160キロ台が出ず、最速158キロで6回3失点。2桁11三振を奪ったが、CSファイナルSまで今季9試合で8勝0敗1セーブと無敵だった「リアル二刀流」で敗れた。
なぜ本来の力を発揮できなかったか。吉井投手コーチは「(ぬかるんだマウンドの)上の砂がスパイクの歯に絡むので踏ん張りが利かない」と説明した。マツダスタジアムでの登板は新人だった13年以来2度目。大谷も「(軸足の)蹴りも甘かった。しっかり体重の乗っていない球が多かった」と言い、慣れないマウンドに最後まで対応できなかった。
栗山監督は「球自体は悪くなかった。悔しくてもいい。次に絶対に生きる」。23日の第2戦は代打での出場が濃厚。「全体的に打線はつながっていた。まず明日、打者として頑張りたい」と大谷。二刀流らしく、この悔しさはバットで晴らす。(柳原 直之)
≪13年マー君以来の2桁奪三振≫大谷(日)が6回11奪三振。日本シリーズの2桁奪三振は13年第2戦の田中将大(楽=現ヤンキース)以来19人目で21度目となり、初登板では同じく田中以来7人目の記録だ。もっとも、この日は3失点で敗戦投手。2桁奪三振で黒星の不運は13年第1戦の則本(楽)に次ぎ5人目で、そのうち07年第5戦のダルビッシュ、12年第2戦の武田勝、今回の大谷と日本ハム勢が最多の3人と目立つ。
≪投手で2安打は98年野村(横浜)以来≫打っては大谷は2安打。パ・リーグの投手で安打を記録したのは04年第6戦松坂(西=1安打)以来。また、シリーズで投手の猛打賞はおらず、2安打は98年第1戦の野村(横浜)以来18年ぶり23人目(28度目)。シリーズ初登板試合では51年第1戦藤本(巨)、59年第1戦杉浦(南海)、65年第1戦金田(巨)、前記野村に次いで5人目だ。なお、過去の4人はその試合に全て勝利投手。デビュー戦マルチ安打で黒星は大谷が初めて。
(スポニチアネックス)
敵地の雨が勝てなかった理由だろうか。
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