政府は、18歳以下への10万円相当の給付に関する指針を策定し、全額を現金とすることを容認した。
閣議決定を行った制度が事実上覆る異例の事態。地方自治体の猛反発を受け、クーポンと併用する原則はなし崩しになり、政府の迷走ぶりを印象付けた。
「(判断の)時期が遅い、自治体が苦労しているという指摘は、謙虚に受け止めたい」。岸田文雄首相は14日の衆院予算委員会でこう釈明した。
10万円給付は、公明党が衆院選の公約で掲げた「未来応援給付」が原型。自民、公明両党の協議を経て、5万円は年内をめどに現金、残り5万円は来春に向けクーポンでの支給を基本とすることが決まった。
半分をクーポンとしたのは、現金では貯蓄に回って消費を喚起できず、地域に経済効果が及びにくいとの懸念が、自民党に強かったためだ。一部を来春の支給とした判断には、同夏の参院選対策も念頭にあったとみられる。
ところが、現金とクーポンの併用により、約967億円の事務経費が余計に掛かることが判明。全国の自治体から「市民のニーズに合わない」(松井一郎大阪市長)などと異論が相次いだ。
このため、政府は自治体側に示す指針で、現金給付について「一律の条件を設け、審査を行うことは考えていない」と明記。これまでは「来年6月末までにクーポン給付を開始できない場合に限る」とし、理由書の提出を求めていたが、大幅な方針転換を余儀なくされた。
さらに、年収960万円以上の世帯は給付対象外とする「所得制限」についても、独自の判断で見送る自治体が相次ぐ。山際大志郎経済財政担当相は14日の記者会見で「独自に財源を確保して給付することを止めるものでもない」と容認する姿勢を示すなど、ここでも原則が揺らいでいる。
「クーポンでも現金でもいい。批判を受けて変えていくことは問題ない」。首相周辺は相次ぐ軌道修正をこう正当化する。だが、政府内からも「既にクーポンの用意を始めている自治体もある」と混乱拡大を懸念する声が出ている。
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閣議決定の強行でなく、議論して良い方向で収まることに賛成です。
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