安倍晋三元首相の後援会が「桜を見る会」の前日に開いた夕食会の費用を安倍氏側が補塡(ほてん)した問題で、東京地検特捜部は28日、公職選挙法違反と政治資金規正法違反の疑いで告発された安倍氏について、再び不起訴処分とし発表した。検察審査会の「不起訴不当」の議決を受け捜査をやり直したが、十分な証拠が得られず改めて嫌疑不十分にしたとみられる。
検審の1度目の議決が「起訴相当」ではなかったため、検審の2度目の審査は行われず、安倍氏への捜査は終結した。
夕食会は政治団体「安倍晋三後援会」(山口県)の主催で都内のホテルで開催。1人あたりの会費は5千円だったが、不足分は安倍氏側が補塡していた。告発を受けた特捜部は昨年12月、2016~19年の後援会の政治資金収支報告書に夕食会の収支約3千万円を記載しなかったとして、後援会代表だった元公設第1秘書を規正法違反(不記載)の罪で略式起訴した。安倍氏は、全ての告発容疑で不起訴とした。
■東京地検「参加者に寄付の認識なし」
だが、東京第一検察審査会は今年7月、夕食会の費用補塡が参加者に会費以上の利益を供与したという公選法違反(選挙区内の寄付)、安倍氏が代表の政治団体「晋和会」の会計責任者の選任・監督を怠ったという規正法違反の両容疑について不起訴は不当だと判断した。議決書では「一部の参加者の供述で参加者全体の認識の目安をつけるのは不十分だ」「メールなど客観証拠も入手して判断すべきだ」と捜査不足も言及した。
このため特捜部は、範囲を広げて参加者らを聴取したり資料を再精査したりしたが、寄付を受けた認識は参加者になかったなどと改めて判断した。
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会費以上の利益供与も、参加者が寄付を受けた認識なしは、微妙です。
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