日本大学前理事長の田中英寿容疑者(74)が脱税したとされる事件で、前理事長に1千万円のリベートが先渡しされたため、日大板橋病院の建て替え工事の設計業者を決める審査で評価点の改ざんが行われた疑いがあることが分かった。東京地検特捜部は、リベートは実際に受注した業者が審査に通る前提のもので、この授受が不正を重ねる原因になったとみている。
■ちゃんこ屋の従業員宅から2千万円超
特捜部は2日、東京国税局査察部と合同で、田中前理事長の自宅や日大本部、取引業者など約20カ所を家宅捜索した。自宅の捜索は9月、10月に続いて3回目。過去の捜索では自宅や理事長室から計約2億3千万円の現金が見つかっており、今回の捜索では前理事長の妻が経営するちゃんこ屋の従業員宅から2千万円超の現金が見つかったことも分かった。
田中前理事長は、医療法人「錦秀会(きんしゅうかい)」(大阪市)前理事長・籔本雅巳(61)、日大元理事・井ノ口忠男(64)の両被告=背任罪で起訴=や他の取引業者から2018年と20年に受け取った計約1億2千万円のリベート収入などを税務申告せず、約5300万円を脱税したとして、所得税法違反の疑いで逮捕された。
関係者によると、新しい板橋病院の設計・監理業者を決めるプロポーザル(提案型の審査)をめぐり、井ノ口被告は都内の設計事務所を合格させるため、同事務所に他社の情報を漏らすなどしたとされる。合格を確実視した井ノ口被告は、田中前理事長への謝礼の先渡し分として1千万円を準備するよう指示。工面に困った同事務所は籔本被告に相談し、最終的に取引に関与した大阪府内の設計事務所が用意したという。
■ゴルフ部祝賀会のホテルで1千万円
井ノ口被告は20年2月6日、都内のホテルで1千万円を受け取って田中前理事長の妻に渡したとされる。ホテルでは日大ゴルフ部の祝賀会が開かれ、前理事長も出席していた。
だが、同月中旬の審査で都内の設計事務所は2位に終わった。1千万円を出させていた井ノ口被告はこの結果に慌て、急きょ評価が低かった点数を水増しして1位に引き上げたという。
同事務所からは籔本被告側に2億2千万円の日大資金が流出したとされ、この1千万円のほか、同年8月に3千万円が田中前理事長夫妻に「お礼」として渡った疑いが判明している。計4千万円は前理事長が隠したとされる所得に含まれているという。
この1千万円については、出金した大阪市内の銀行支店の帯封が田中前理事長の自宅から見つかっている。前理事長は脱税容疑を否認しているという。
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表に出せない裏金を自宅などにプールすることは当り前でしょう。
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