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2016年9月1日木曜日

<台風10号>平穏奪った濁流 家屋に泥、車横転

 台風10号による小本川の氾濫で大量の流木が平屋建ての施設の外壁を覆い隠し、窓ガラスは大破していた。乗用車は横転し、電柱や看板も傾いていた。水が引いた31日午後、入所者9人が亡くなった岩手県岩泉町の現場に入った。高齢者グループホーム「楽ん楽ん」やその周辺では、濁流の激しさを物語る爪痕が至る所に残されていた。【滝川大貴】

 グループホームを目指して県道44号を西に進むと、台風で氾濫した小本川が目に入った。高さ8メートルはある周囲の木々のほとんどが横倒しとなり、灰色の泥土で覆われた河川敷は干潟のようだった。

 運転していた乗用車のタイヤが半分ほど沈む水たまりを強引に進むと、住宅が並ぶ地域に入った。どの家にも泥が入り込み、疲れた表情の住民がスコップで家の中を片付けていた。その先では多くの乗用車や消防車もひっくり返っていた。

 「楽ん楽ん」に到着した。一帯は30日から停電が続いており、救助隊員がグループホームに隣接する高齢者施設に慌ただしく出入りしていた。午後3時20分ごろ、ヘリコプターが施設に到着し、屋上から数人を助け出した。

 30日午後4時まで施設で勤務していたという女性職員は、「ゆうべから今まで、ここには来ていませんでした」と話すと、足早に施設に入っていった。

 施設近くに住む坂東智さん(61)は30日夜、平屋建ての自宅に濁流が押し寄せ、屋根の上に逃げたという。

 坂東さんが午後6時ごろに家の外を見ると、道路はひざの高さまで水であふれていた。慌てて車を高台に移動させ、自宅に戻ったが、同8時ごろに室内に水が浸入。浮力で畳が浮いてきたのでタンスに上がったという。

 坂東さんは家具などを伝って屋根の上に逃れた。雨は強まり、体が冷えた。水位が下がり始めると、室内に戻って風雨をしのぎ、一命を取り留めた。9人死亡に「やりきれない」とつぶやいた。
(毎日新聞)

 これまでに例がない、東北直撃の台風の被害は激しい。

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