◇パ・リーグ 日本ハム2ー1楽天(2021年7月1日 楽天生命)
日本ハムの伊藤大海投手(23)が1日の楽天戦で7回4安打1失点と好投し、登板5試合連続勝利でエースの上沢直之投手(27)と並ぶチームトップ6勝目を挙げた。球団の新人で5連勝したのは06年に新人王を獲得した八木智哉以来15年ぶり。8勝のオリックス・宮城、7勝の楽天・早川が先行する新人王争いに参戦し、ヒートアップしてきた。
伊藤が並の新人ではないのは投球だけではなかった。7回1失点。新人なら上々の投球結果だが、見据えていたのは、はるか上だった。試合後の取材で、上沢と並ぶ6勝目を挙げたことについて感想を求められた時だった。
マウンドを託したB・ロドリゲスと杉浦が3連投で試合を締めてくれたことに触れ「勝ちパターンは3連投になるのが分かっている中で7回までしか投げられなかった。(カード)3戦目に投げる中では一つの反省点。もっとイニングを延ばせるように努力していきたい」と気を緩めることはなかった。将来、エースの座を狙う右腕だからこその責任感が口をついて出た。
通算135勝右腕・岸との雨中の投手戦。楽天に移籍後の日本ハム戦は14試合で6勝負けなしの天敵だったが、伊藤が投げ勝ち、15戦目でようやく土を付けた。光ったのは伊藤の器用さだ。
初回に岡島に同点犠飛を許すなど、3回まで毎回走者を背負った。立ち直ったきっかけが4回にカスティーヨから見逃し三振を奪った遅球だった。「だいぶ抜いて」投げた96キロのカーブ。「あの時にカチカチになり過ぎていたと気付いた。いい意味で遊び心を持って投球するのもありかなと思った」。そこから意識して脱力し、4~7回で許した走者は、四球を与えた6回だけ。その6回も銀次を二ゴロ併殺に仕留め、4回以降は全て3人で片付けた。テンポの良い投球が渡辺、石井の好守も呼び込んだ。
スライダーだけで実に6種類も投げた。雨で足場が悪く、簡単なマウンドではなかった。相手を幻惑すべく、スライダーにスピードの強弱、曲がり幅に加え、さらに腕の位置も変えて1球種だけで6種類の変化を付けた。頭をフルに使って初対戦となった楽天打線を封じ「カロリーの高い投球で疲れました」と笑った。
これで規定投球回に到達し、防御率は2・65でリーグ4位に浮上。新人王争いでも8勝の宮城、7勝の早川を追走する。今季序盤は打線の援護に恵まれなかったが、3戦3勝した交流戦で弾みがついて一気に5連勝。伊藤の勢いは簡単に止まりそうにない。(東尾 洋樹)
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エース級の活躍は素晴らしい。新人王を取りたい。
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