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◇水原一平 I REPORT エンゼルス・大谷翔平投手(27)が、ベーブ・ルース以来103年ぶりの「2桁勝利&2桁本塁打」、そして日本選手初の本塁打王を狙う21年のシーズンも最終盤を迎えた。「Monthly Shohei」の9月編は、公私にわたって支えてきた水原一平通訳(36)が伝える舞台裏を、「I REPORT」拡大版として展開。 9月17日にジョー・マドン監督が着用したTシャツはチーム内で話題になりました。胸に「下手くその上級者への道のりは 己が下手さを知りて一歩目」の日本語。漫画「スラムダンク」でバスケットボール部監督の安西光義先生が、猛練習に励む主人公・桜木花道に贈った言葉です。 マドン監督はご自身の慈善団体「Respect90」の活動の一環でカブス監督時代からTシャツを毎年作っています。今まで「大胆不敵」と書かれたTシャツも着用していますよね。今回はマドン監督から「TRY NOT TO SUCK(ダメなヤツになるな)っぽい日本語はないか?」と携帯電話でメッセージが送られてきたことが始まりでした。 パッと思い浮かんだのが安西先生の言葉。僕も翔平も「スラムダンクが」がめちゃくちゃ好きなので「翔平が一番好きな漫画のフレーズです。直訳ではこういう意味なんですけどどうですか?」と返信すると、気に入ってくれたようです。 翔平はそんなTシャツが作られることは知りませんでした。監督が報道陣の方々に披露する直前にTシャツ姿で「どうだ?」と見せにいくと、翔平は「今の自分に染みるわぁ」と言っていました。何か思うところがあったのだと思います。 僕も翔平も「スラムダンク」の漫画は全巻持っています。名言、名場面を引用して、よくふざけて言い合ったりしています。翔平が好きなキャラクターは陵南高校の仙道彰で「まだあわてるような時間じゃない」というセリフが好きなようです。Tシャツは全員に配られました。みんなが喜んで着てくれていてよかったです。 メジャー4年目も、もう終わりが近づいていますが、翔平もチーム内での立場も変わり、チームメートに助言を送ることがあります。最近よく話すのは新人外野手マーシュ=写真(左)。凄く明るくて、性格もかなり良いです。翔平はマーシュのためになると思ったことは、自分から伝えるようにしています。「変化球がストライクから始まったら次はボールになるよ」とか「カーブが浮いたらストライクになるよ」などですね。相手投手の球筋、打席でどう見えているかの話が多いようです。 9月は投手では勝ち星から遠ざかり、打者では勝負を避けられることが多くなってきました。いろいろな意味で苦行ですね。だからといって全然、不機嫌なことはなく、楽しく過ごしています。コロナ禍もあり、外出は特にしていませんが、最近だと移動の車中で「YOASOBI」、「優里」や懐メロもかけたりはしています。日本の曲が多いですね。翔平本人は特にこだわりはないと思いますけど、僕が好きな曲を適当に流していますね。 もし本塁打王が獲れたら展開的には「激アツ」ですが、だからといって勝負を避けられている中で無理やり打ちにいかず、このままのスタイルを続けてほしいです。本塁打王は今年が最後のチャンスではありません。それより良い感覚でシーズンを終えて、来年に向けてプラスになれば一番良いと思っています。(エンゼルス通訳)
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まだあわてる時間ではない。103年ぶりの快挙と本塁打王を楽しみにしています。
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