北京冬季オリンピック第14日は17日、スピードスケート女子1000メートルが国家スピードスケート館であり、高木美帆(27)=日体大職=が金メダルを獲得した。今大会は5種目に出場し、1500メートル、500メートル、団体追い抜きの銀に続き、4個目のメダル。日本女子最多を更新する通算7個目、個人種目で自身初の金メダルとなった。
「最初はつらいことがたくさんあった。自分の調子も上げきれず、苦しい中での始まりだった」。13日間で7レース目となる高木美の異例の挑戦。計1万3200メートルを滑った先に、栄光が待っていた。個人種目で自身初の金メダル。今大会はここまで3000メートル(6位)を除く3種目で3個の銀メダルだった悔しさを晴らした。
フィニッシュ後にタイムを見た瞬間、高木美は手をたたき、派手に突き上げた。残り2組を残していたが、従来の記録を0秒37更新しての五輪新記録で、手応えを表現した。
500メートルで銀メダルを獲得したスプリント力で、スタートから飛ばした。200メートル通過は全体トップの17秒60。中盤以降も得意の1500メートルで培った高いレベルでのスピード持久力が生きた。終わってみれば、2位に0秒64差をつける快勝だ。
スピードスケートでは、種目ごとのスペシャリスト化が進んでいるが、高木美はその流れにあらがうように挑戦を続けてきた。1992年アルベールビル五輪女子1500メートル銅メダリストで、元祖オールラウンダーの橋本聖子さんから「(得意な1500メートルと1000メートルの)2種目に照準を絞るなら500メートルのスピード、3000メートルの持久力が必要」とアドバイスを受けたことも大きかった。
瞬発力を養う短距離、持久力を向上させる中長距離のハードな練習を両立させるのは簡単ではなかった。北海道・帯広南商高時代、当時監督を務めていた東出俊一さん(65)が勝つために種目を絞ることを勧めても、「勝ち負けはいいんです。今からやっておかないと駄目なんです」との信念は揺るがなかった。
2度目の出場となった2018年平昌五輪の個人種目では1500メートルで銀、1000メートルで銅メダルを獲得。両種目での悲願の頂点に向け、平昌後に特に力を注いだ種目が500メートルだった。スプリント力を強化してスタートからの加速に費やす力を減らし、中盤以降にスタミナを温存。終盤のペースの落ち込みを最小限にとどめた。
前回大会では団体追い抜きの金を含め、勢いで金銀銅と3個のメダルをつかんだが、今回は周到な準備を重ねてきた。「勝ちにいく滑りをしたい」と臨んだ高木美。積み重ねた努力は裏切らなかった。【松本晃】
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弱点克服と地道な努力の結果でしょう。5種目出場で最後のレースでの金メダルに感動しました。
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