国際社会からの強い非難にもかかわらず、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻に踏み切った。軍事力による一方的な侵略行為であり、断じて許されない。第2次世界大戦後、平和と安定の基盤となった国際秩序は崩壊の危機にある。
侵攻が始まったとき、米ニューヨークの国連本部ではウクライナ問題を協議する安全保障理事会緊急会合が開かれていた。国際社会をあざ笑うかのような行動から、プーチン氏の確固たる自信が読み取れる。
侵攻を許した背景には、国際社会における米国の影響力低下がある。
トランプ前政権は同盟国との関係を軽視。バイデン大統領は就任直後から国際社会への復帰を宣言して関係改善に取り組んだが、昨夏のアフガニスタンからの米軍撤退時には北大西洋条約機構(NATO)各国との間に亀裂が生じた。
国内では社会の分断が深刻化。与野党対立から看板政策の実現もおぼつかず、政権支持率は低迷する。前政権時代の「米国ファースト」が影を落とし、一部世論調査ではウクライナ問題への積極的な関与を望む声は2割台にとどまる。
プーチン氏がこうした状況を見据え、侵攻しても米国や欧州連合(EU)が強い態度に出られないと判断したのは間違いない。米欧は大規模経済制裁で対抗する方針だが、ロシアは織り込み済みで、どこまで効果があるかは見通せない。
安定のほころびは欧州だけではない。中国は台湾海峡や東・南シナ海で覇権主義的な動きを強め、北朝鮮は核・ミサイル開発を着々と進める。今回の事態を抑え込めなければ、中朝も米国の足元を見透かしてさらに強硬姿勢を強めるだろう。日本にとって決して対岸の火事ではない。
今後、ロシアが中国との連携を強め「民主主義対専制主義」の対立構図は一層強まるとみられる。この難局を乗り切るためには、米国を中心とした民主主義陣営の強い結束が求められる。世界は先が見えない混沌(こんとん)の時代に突入した。(ワシントン金子渡)
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国際秩序回復のために、民主主義陣営の強い結束と厳しい制裁が必要でしょう。
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