ぶっとい手で、清宮は白木のミズノ社製バットを握った。フリー打撃の3打席目。38スイング目に、芯でとらえた打球がグングンと伸びた。両翼90メートル、中堅120メートルの球場で、右中間に飛び込む1発。右翼後方にあるブルペンで投球中の先輩投手陣もびっくりの特大アーチが、記念すべき“木製初本塁打”になった。
さらに続く39スイング目も、右翼後方の林に打ち込むアーチ。「芯に当たった時は気持ち良く飛んでいきますけど、根っこだと飛ばない。感触は今日つかめたと思う」と言った。木製バットを使用するU18W杯では、バットへの対応が最も大きな課題になる。普段の練習からロングティーでは木製バットを使用するが、フリー打撃で使ったのは初。その中でチーム最多3本塁打と、対応力を見せた。
大阪には木製バット4本を持参した。フリー打撃の1打席目では普段から使用するローリングス社製、続いて白木のミズノ社製を使い、最終の5打席目ではアシックス社製を試した。いずれも84~85センチで、重さは900グラム前後。約10グラムずつ誤差があり、最も合ったものを模索している最中だ。
練習を見守った西谷浩一監督(45=大阪桐蔭)は「(木製でも)練習では十分打てている。柔らかい打撃を見せてくれた。DHも考えられる策だと思ってます」と、指名打者で起用する考えを示した。打順については「白紙」と明言は避けたが、クリーンアップを任される可能性は十分。清宮は初体験の指名打者に「打つのは好き。守るのが嫌いというわけではないですけど」と笑顔を見せた。
本来甲子園で4強入りした選手は23日から合流予定だったが、この日の朝に大阪入り。環境に慣れるための配慮とみられたが「全然知らなくて、来てから、明日で良かったんだって知りました」と豪快に笑った。前日21日は新チームの初練習に参加。夜は父克幸氏(48)ら家族と食事し、「よくやったと出迎えてくれました」と喜んだ。早実の主軸から、高校ジャパンの主軸へ。希代の売れっ子スラッガーは、わずかな休息だけで、次なる戦いに歩みを進める。【前田祐輔】
(日刊スポーツ)
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