台湾で開催された第26回 IBAF 18Uワールドカップ。日本はこの年、「侍ジャパン」が結成された。この時のメンバーで、のちにプロ入りした選手が12人(2015年8月1日現在)。そのうちドラフト1位指名を受けたのが、下記の5名だ。
【2013年】
松井裕樹(桐光学園―東北楽天ゴールデンイーグルス)
森友哉(大阪桐蔭―埼玉西武ライオンズ)
渡辺諒(東海大甲府―北海道日本ハムファイターズ)
【2014年】
高橋光成(前橋育英―埼玉西武ライオンズ)
安楽智大(済美―東北楽天ゴールデンイーグルス)
松井はこの年、高校生ナンバーワン左腕と評され、2012年夏の甲子園・今治西戦では、22奪三振を記録するなど、日本中の高校野球ファンを魅了した。高橋光は2年生時に、第95回全国高校野球選手権の優勝投手。さらに、安楽は甲子園で最速155キロを計測し、2年生ながらエース格の活躍が期待されていた。
野手では、キャッチャーの森は、2012年の大阪桐蔭の春夏連覇に貢献。走攻守三拍子揃ったスーパーキャッチャーとして、2年連続の代表入りを果たした。渡辺もまた、1年春から公式戦に出場し、2年夏に甲子園に出場すると4強入りを経験。走攻守三拍子揃ったショートストップとして高く評価された。
昨年の第1回 IBAF 21Uワールドカップに出場し、今年も第27回 BFAアジア選手権の社会人代表候補にも選出された山岡泰輔(瀬戸内―東京ガス)など、高校卒業後も活躍をみせる選手が多く出場した大会となった。
また、同大会を率いる西谷浩一代表監督(大阪桐蔭 硬式野球部監督)が、甲子園出場、未出場の選手問わず、世界で活躍できる選手を起用したいという思いから、この年は、3年間通じて甲子園に一度も出場したことがなかった田口麗斗(広島新庄―読売ジャイアンツ)が選出されたこともまた、大きな注目を集めた。
即戦力として活躍できる選手たちを揃えて臨んだ第26回 IBAF 18Uワールドカップ。9月1日より行われた第1ラウンドの1戦目は、地元チャイニーズ・タイペイと対戦。4回表、日本は一死一、二塁から園部聡(聖光学院―オリックス・バファローズ)の適時打で1点を先制。さらに6回表にも、二死二塁から奥村展征(日大山形―読売ジャイアンツ―東京ヤクルト)のセンターへのタイムリーで2対0とすると、7回には先頭の森 龍馬(日大三―法政大)の二塁打でチャンスメイク。一死三塁から竹村 春樹(浦和学院―明治大)のスクイズ犠打で3対0とする。
先発の松井裕は、159球を投じながら、勢いある速球とキレ味鋭い変化球のコンビネーションで、台湾打線に8回1失点、12奪三振と好投。9回には、森龍の犠飛で1点を追加すると、その裏、最後はリリーフの山岡が締めて、4対1で勝利。
9月2日のメキシコ戦では、初回に1番・吉田雄人(北照―オリックス・バファローズ)の三塁打で一気に流れを呼び込むと、森友のタイムリーで1点を先制。その後、波に乗った日本打線は、計11得点を奪って、7回コールドで勝利した。投げては、飯田晴海(常総学院―東洋大)が無失点の好投でチームを勢いづけた。
続くベネズエラ戦では、今度は、安楽が16奪三振完封でリーグ戦3連勝を飾る。第4戦目のチェコと試合でも、21安打の猛攻で、15対0で圧勝。
5戦目となったカナダ戦では、いきなり3点を失いリードを許すが、1対5で迎えた3回裏の二死満塁のチャンスから、園部の2点適時打、さらに奥村が相手エラーを誘う内野ゴロを放ち、1点差に詰め寄る。4回には、相手野手のミスも絡めて得点を重ね、逆転に成功。試合に7対5で勝利した日本は、1次ラウンドでは5戦全勝と力の差を見せつけ、2次ラウンドに突入する。
2次ラウンドに入っても、その勢いはとどまることはなかった。
韓国戦では、1回裏に森友の犠飛で1点を先制すると、2回にも吉田の2点タイムリーなどから、4点を挙げ、5対0と韓国を大きくリード。5回以降も得点を重ねた日本は、6回終わって10対0に。また、先発の松井も好投。6回を投げ、6奪三振無失点と韓国打線を封じるピッチング。7回には山岡が登板し、140キロ台の速球とキレ味鋭い変化球で圧倒し、7回コールドで試合を締めた。
さらに、今まで日本が苦戦することが多かったキューバ戦では、先発の安楽が躍動。1次ラウンドのベネズエラ戦で、16奪三振完封勝利を挙げた快投をこの試合でも発揮し、140キロ後半の速球とキレのあるフォークとのコンビネーションがハマり、強打のキューバ打線から8回10三振を奪う好投。打線も4対0でリードした8回に、一挙6点を挙げ、10対0のコールド勝ちを決めた。この勝利により、決勝進出を果たした日本。
2次ラウンド最後の試合となったアメリカ戦では、4対10で敗れた日本だったが、そのアメリカと世界一を賭けてファイナルで対戦。
日本は、5回に二死一、ニ塁から熊谷の適時打で1点を先制。しかし、6回裏に逆転を許し、敢え無く降板。7回裏には、山岡が登板したが、適時打を許し、1対3と点差を広げられる。8回表、園部の適時打で2対3の1点差に迫るが、アメリカの投手陣を打ち崩すことが出来ず、2対3で惜敗し、準優勝に終わった。
日本は、1次ラウンドから6連勝で、まさに理想的ともいえる試合運びで決勝進出を決めたが、あと一歩で宿敵・アメリカの前に涙を呑んだ。
それでも、試合後には、多くの選手がタイトル表彰を受賞した。オールスター部門では、先発投手として、二度の完封勝利を挙げた安楽。リリーフ部門では、山岡が受賞。さらに、捕手部門では森友。個人賞では、安楽が防御率と最高勝率の二部門を受賞。また、今大会15打点をマークした森は打点王も獲得した。
これまで、夏の甲子園出場選手中心に構成されていた国際大会だったが、2014年からは、その年のトップ選手が選出されるようになるなど、選考にも変化があった。結果として、大会準優勝の功績を残せたことは、日本の高校球界にとっても大きな転機となった一年であった。このスタイルは、その後も受け継がれていくこととなる。
侍ジャパンが結束されて初めて臨んだU-18の国際大会。全世代でナンバーワンを誓う侍ジャパンにとっては、確かな一歩を踏み出した大会となった。
(野球日本代表 侍ジャパンオフィシャルサイト)
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