【赤坂英一「赤ペン!!」】「ずっと辞めようと思ってたんだ。やっぱり許せないものは許せない」
携帯電話の向こうで、楽天を退団した田代前打撃コーチが言った。「許せないもの」とは再三再四にわたる三木谷オーナーの現場介入である。大久保監督と考えたオーダーをひっくり返され、代打や走塁にまで口出しされ、打撃コーチとしての意見をないがしろにされている現状に我慢がならなかった。
「ただし」と田代前コーチはこう念を押している。
「デーブ(大久保監督)はよくやってくれたよ。彼には感謝してる。ずっとおれたちコーチの前面に立って、何とか現場の声を生かすよう頑張っていた。個人的にも、随分気を使ってくれたしね。しかし、いつまでもああいうことが続くと…」
三木谷オーナーはそこまで干渉するのかと私が最初に驚かされたのは、大久保監督が監督代行だった昨年7月16日のオリックス戦である。このシーズン初めての中4日登板だった則本が4点を失うと、4回途中で捕手の嶋とともにバッテリーごと交代を命じた。ベンチ裏で荒れる嶋に大久保監督が「申し訳ない。仕方がなかったんだ」と謝罪。この光景を見ていた関係者の誰もが「絶対に優勝なんてできないだろうと思った」と口を揃える。
そうしたこともあってか、田代前コーチは昨年で退団するつもりだった。しかし、「残ってデーブを助けてやってほしい」と星野SAに説得されて翻意。選手の指導や打線の強化に努めていたのだが、自分の意見を三木谷オーナーにないがしろにされたのは一度や二度ではなかった。期待を込めてスタメンに入れた選手を、鶴の一声で外されることも少なくなく、かなり腹に据えかねていたという。
その間、大久保監督はよく「田代さんにはすまないことをしてます」とこぼしていた。「中川の4番抜てきはぼくの意見」「牧田やペーニャの2番起用もキャンプ中からの構想」など、いかにして自分や田代前コーチの考えを貫こうとしているか、私の取材にいつも苦しい胸中を明かしていたものである。
しかし、選手時代から現場一筋の田代前コーチにとって、楽天のいびつな構造は到底受け入れ難いものだった。最大の頼みとする田代前コーチに去られた大久保監督の胸中もまた察するに余りある。プロ野球の世界、やはり餠は餠屋、ユニホーム組のことはユニホーム組に任せておくべきだ。三木谷オーナーがその真理を理解しない限り、楽天の再浮上はあり得ない。
(東スポWeb)
オーナーの介入は呆れるが、ソフトバンク戦3勝9敗はもっと頑張ってもらいたい。
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