ソフトバンク・松坂が、国内復帰後初の1軍登板で大炎上した。8回、先頭の嶋から4連続四死球を与えるなど乱調。1イニングで39球を投げ、打者10人に3安打4四死球、2三振で5失点。日本では06年10月7日、プレーオフ第1Sのソフトバンク戦(インボイス)以来、実に3648日ぶりの1軍マウンドだったが、結果を残せず、2軍降格が決まった。8日から始まるクライマックスシリーズでの登板も消滅した。
「平成の怪物」と呼ばれた剛腕の姿は、そこにはなかった。右肩の手術を乗り越え、日本球界復帰後初めて1軍のマウンドに上がった松坂だったが、荒れに荒れた投球に、杜(もり)の都は悲哀の空気に包まれた。
「緊張感はもちろんありましたし、投げた結果、自分が望む結果ではなかった」
数多くのファンが待ち望んだ登板だった。8回。マウンドへ小走りで向かう18番の背中を、敵地にもかかわらず、球場中が歓声と拍手で押した。「ピッチャー・松坂」のアナウンスに再び場内が沸く。「敵、味方関係なく、応援してもらったことは非常にありがたかった」。だが復活への期待は、はかなくも打ち砕かれた。
先頭・嶋の初球、143キロの直球は内角低めへ外れ、最後は四球。島内の死球後、代打で登場した西武時代の先輩・松井稼にも初球の真っすぐを引っかけ、2者連続死球とした。ペゲーロの押し出し四球で1点を失うと、1死後に茂木、アマダー、銀次に3連打を浴びて計5失点。直球の最速も144キロ止まりだった。
苦闘の411日間だった。昨年8月18日に右肩を手術。苦しいリハビリを乗り越え、実戦に復帰した。だがその後も右手の違和感、腰痛、右でん部の張りなど故障を繰り返した。くじけそうになる心を支えたのは「1軍のマウンドで投げたい」という思いだった。
8月28日の四国IL香川との3軍戦(タマ筑後)ではNPB復帰後最速の147キロをマークし、3回1安打無失点、4奪三振。一時は日本ハムとの優勝争いの中、先発陣にアクシデントがあった場合のバックアップ候補にも浮上した。目指し続けた舞台で散々な内容に終わったが「良くても悪くても、投げることができて良かった。この結果と内容を受け止め、これからどうするかを考えて、また筑後(の2軍施設)で頑張ります」と己を奮い立たせた。
試合後、工藤監督に呼ばれ、監督室で約10分間話し合い、その場で降格を通達された。指揮官からは「これを反省してどう生かすか。くじけずに前を向いてやっていこう」と激励を受けた。
「前を向いてやっていこう、やっていくしかないと思い直した。自分の中で受け止めて、消化していくのに時間はいるでしょうから。いきなりは無理ですけど、イチから来年に向けてつくり上げていく」と松坂。来季は3年契約の3年目。復活を目指し、イバラの道を進んでいく。(福谷 佑介)
(スポーツ報知)
来季復活できるか、戦力外か。
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