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【岸田政権の功罪】 岸田文雄政権が、菅義偉前政権と比べて、明らかに「劣化」しているのが、新型コロナウイルス対策(=特にワクチン接種)と、デジタル化政策である。担当閣僚に、初入閣の堀内詔子氏と、牧島かれん氏を充てたことからして、岸田首相が軽視していた証拠だ。 ワクチン接種率は、岸田政権発足のころから急ブレーキがかかり、「3回目接種」は1月末で3・2%と、世界最低クラス。西欧や韓国は50%前後、米国や中国が25%前後だから完敗である。 堀内氏は就任時に「希望者にはもれなく」と言ったが、当時すでに世界の関心は「接種したくない人に、一人でも多く打つこと」に移っていた。 最近、オーストリアでは、未接種者に刑事罰を科した。フランスは、公共の場から未接種者を閉め出した。ドイツは「『接種したくない人への配慮を』と言っていたのは間違いだった」と認めるなど、世界は準義務化へ向かっている。 岸田政権には、その気配もない。 ワクチン接種者への特典も縮小する愚策ぶりだし、安直なPCR検査はワクチン接種の妨げになるので縮小傾向なのに、無意味な検査を増やして必要な検査を妨害している。 新たな変異株「オミクロン株」は感染力は強いが重症者は少ない。感染症法上の「2類相当」を「5類」にするか別にして、隔離期間を短くして、必要な接種をした人は濃厚接触者でも隔離免除にすべきだ。逆に、「ゼロコロナ発想」と、「PCR至上主義」に擦り寄って社会を混乱させている。 岸田政権の水際対策は、WHO(世界保健機関)からも「過度だ」といわれる。海外に仕事があったり、家族に会いたい日本人も外国人も、非人道的な仕打ちに泣いている。経済への打撃も大きいし、日本人の国際化意欲まで削いでしまう。将来まで及ぶ、重大な弊害が不可避だ。 フランスの昨年の経済成長率は7%と、際だって良かった。これは、ワクチン接種を徹底し、接種した人は最低限の行動制限にして、重症者増加による医療崩壊を防ぎ、経済もほどほどに回すという、エマニュエル・マクロン大統領が考え抜いた作戦を貫徹した成果だ。 山梨県の長崎幸太郎知事が、ワクチン未接種者に行動自粛を呼びかけたところ、同県選出の堀内ワクチン担当相がブレーキをかけた。正直、長崎知事にワクチン相を兼ねてほしい。 薬剤師などにワクチン接種を認めるのは、迅速化につながる。医師には、医師にしかできないことに専念してもらうためにも必要だが、岸田政権は何も進めない。むしろ、医療機関も飲食店も「コロナ助成」で潤っているところが多く、軌道修正もできない。病床逼迫(ひっぱく)も、軽症者を入院させているからだ。医療改革にも乗り出さない。 もはや、菅前首相に「コロナ・医療改革特命相」に就任してもらいたい。 ■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に『365日でわかる日本史 時代・地域・文化、3つの視点で「読む年表」』(清談社)、『日本人のための日中韓興亡史』(さくら舎)、『日本の総理大臣大全 伊藤博文から岸田文雄まで101代で学ぶ近現代史』(プレジデント社)
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第5波収束で甘く見ていたのでしょう。ワクチン3回目も遅いし、また後手後手でしょうか。
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