オプジーボの海外での価格は日本の半額程度で、首相官邸や政府の経済財政諮問会議などが大幅引き下げを求めていた。肺がん患者1人当たりで年約3500万円かかることから、中医協でも「薬価が高額のまま患者が増えれば、医療保険財政を破綻させかねない」などの意見が出ていた。このため、厚労省は、2018年度予定の次回薬価改定よりも前に緊急値下げすることを決めた。
製造販売元の小野薬品工業(大阪市)は今年4月、オプジーボの年間売り上げ見込み額を1260億円と発表。この数字を、年間販売額が想定を超えたヒット薬の薬価引き下げルール(特例拡大再算定)に当てはめると引き下げ幅は「最大25%」となる。一方、厚労省は流通経費などを考慮して独自に試算し、販売額が年1500億円を突破すると判断した。ヒット薬ルールでは1500億円を超えると50%の引き下げが可能になる。
オプジーボの価格は類似薬がなく、開発費や製造原価、営業利益、流通経費などを積み上げて算出された。開発に約20年かかるなど開発費が膨らんだ。最初は対象患者数が約470人と少ない皮膚がんの一種「悪性黒色腫」を対象に発売され、採算を取るため100ミリグラム73万円という高い薬価が付いた。昨年12月に一部の肺がんにも使えるようになり、対象患者数は年1万5000人程度に急増したが、16年度改定には間に合わなかった。【細川貴代】
◇超高額薬、対応が課題
高額の医療費には年収に応じて上限が定められており、オプジーボのような高い薬価でも本人負担が大きく変わるわけではない。
政府がオプジーボの薬価を特例で、しかも50%という大幅引き下げに踏み切ったのは医療保険財政への影響を考慮したからだ。医療保険は税金と健康保険料で賄っており、保険料を負担する側にとってのメリットが大きい。
オプジーボは患者数の少ない疾患を対象にしていたが、患者数の多い一部の肺がんにも保険適用され、財政面の課題がクローズアップされた。
だが、これで「薬と財政」の難題が解決したわけではない。オプジーボに限れば、次回の改定で引き下げが見込まれていた。問題は、今後も超高額薬が次々と登場する可能性があるということだ。
一方で、新薬を開発する企業にとっては今回のような「ルール外」の引き下げが続けば、開発意欲をそぐことにもなりかねない。厚労省は2018年度改定までに新ルールを設ける方針だが、透明性の高い仕組みとすることが求められている。
(毎日新聞)
薬価の決め方がアバウトで、医薬品会社は儲かっているのだろうか。
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